ババール

ぞうのババールについて

ババール（Babar）は、1931年にフランスの絵本作家ジャン・ド・ブリュノフによって創造された架空の象で、彼の人気絵本シリーズ『ぞうのババール』の主人公です。このキャラクターは、ド・ブリュノフの死後もその息子であるローラン・ド・ブリュノフによって50冊以上の物語が書かれました。英語圏では「The Story of Babar」として知られ、1933年にイギリスとアメリカで刊行されました。

物語の根底には、ジャンの妻セシルが子供たちのために創作した物語があり、ババールは擬人化された象として描かれています。彼は服を着て2足歩行をし、腕の代わりに長い鼻を使って物を持つ姿が特徴的です。1989年から1991年にかけて放送されたアニメシリーズ『ぞうのババール』では、さらに多くの人々にそのストーリーが親しまれました。後に追加されたエピソードや、2010年に制作された続編『ぞうのババール 〜バドゥのだいぼうけん〜』でも、ババールの冒険は続きました。

物語のあらすじ

ババールは最初、母親をハンターに殺された悲劇を経験します。彼はジャングルを逃れ、パリへと逃げ込みます。そこで出会った老婦人と友情を築き、彼女の助けで教育を受け、洋服を購入してもらうことで人間社会に溶け込んでいきます。しかし、心のどこかで故郷の象の世界を恋しく思うようになり、ついには戻る決意をします。

故郷に帰ってみると、象の国は国王が毒キノコによって亡くなった後、混乱に陥っていました。象たちはババールがフランスで教育を受けたことから新しい国王として彼を指名します。こうしてババールは新たな国王となり、いとこのセレステと結婚し、彼女の名を冠したセレステビルを建設します。西洋文明の影響を受けた彼は、仲間の象たちにも新たな服装を取り入れるなど、象の国の変革を推進します。

ババールは、妻セレステと三つ子の子どもたち（ポム、フローラ、アレクサンダー）との生活を送る中で、次女のイザベルも登場します。彼の周囲には、妻の弟アルチュールや王室顧問のコーネリアス、儀礼局大臣のポンパドゥール、さらにいたずら好きな猿のゼフィールがいます。国民の支持を受けたババールは、「穏やかな権威主義」を保ちながら、象の国の繁栄に努めます。

批評と評価

一部の批評家は、ババールの物語が表面的には楽しいものの、道徳や政治に関して否定的な見解を持っていると指摘しています。特に、植民地主義的な要素が含まれているとの見解や、第一次世界大戦前のフランスへのノスタルジアが題材にされているとの意見もあります。

音楽とメディア展開

フランシス・プーランクは1945年に『小象ババールの物語』という音楽物語を作曲しており、ババールの物語は音楽にも多くの影響を与えました。アニメシリーズは1989年から1991年に放送され、その後映画や続編も制作されています。さらに、ババールの冒険は多様なメディアを通じて親しまれています。

このように、ババールはただの子ども向けの絵本のキャラクターに留まらず、教育、文化、国際関係のテーマに触れるきっかけを提供する存在として、多くの世代に受け入れられてきました。

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