バマー人民解放軍

バマー人民解放軍（BPLA）

バマー人民解放軍（ビルマ語: ဗမာပြည်သူ့လွတ်မြောက်ရေးတပ်တော်、英語: Bamar People's Liberation Army、略称:BPLA）は、東南アジアの国ミャンマーに存在する武装組織の一つです。この組織は、2021年2月に発生した軍事クーデターとその後の抑圧に対する抗議運動の中から誕生しました。

結成の経緯

BPLAは、2021年4月17日に正式に組織されました。結成を主導したのは、ミャンマー国内で広く知られる詩人であり、人権活動家としても活躍していたマウンサウンカー氏を含む、軍事クーデターに抗議するデモに参加していた17名の市民です。彼らは平和的な抗議活動だけでは軍事政権に対抗できないと考え、武装闘争の道を選択しました。

組織の象徴

BPLAの公式なエンブレムは、円形に配置された9枚の孔雀の羽で構成されています。この孔雀の羽のモチーフは、かつてミャンマーを統治した最後のビルマ国王の象徴として歴史的に重要な意味合いを持っています。このロゴを採用することで、軍事政権に対抗し、国民が真に求める国家の再建を目指すという彼らの意志を示していると考えられます。

活動の目的

BPLAの目的について、中心人物であるマウンサウンカー氏は複数の点を挙げています。その中核にあるのは、ミャンマーが長年抱える民族間の不平等や支配構造の是正です。具体的には、以下の目標を掲げています。

バマー仏教徒による他民族支配の終焉: 多数派であるバマー民族、特にその中の仏教徒が他の少数民族に対して行っている支配的な構造や不平等を解消することを目指しています。これは、ミャンマーにおける多くの民族問題の根源に触れる、極めて重要な目標です。
連邦制下での民族団結強化: 将来的に実現を目指す連邦制（フェデラルシステム）の下で、ミャンマーを構成する多様な民族が互いに尊重し合い、より強固な連帯を築くことを目指しています。これは、各民族が一定の自治権を持ちつつ、国家全体としてまとまることを理想とする考え方です。
政治的妥協の阻止: 軍事政権によって拘束されている国民民主連盟（NLD）の指導者アウンサンスーチー氏が仮に自宅軟禁などから解放された場合でも、国家の安定を口実にした政治的な妥協が行われることを防ぐとしています。これは、クーデター以前の状態への単なる回帰ではなく、より根本的な政治改革を求める姿勢を示唆しています。
バマー人のアイデンティティに基づく州の承認: 将来の連邦制において、バマー民族の文化的・民族的なアイデンティティに基づいた、一つの州、あるいはそれに準ずる構成単位が正式に承認されることを求めています。これは、連邦制の中でバマー民族自身がどのような位置づけとなるべきかという、彼らの視点からの主張です。

将来の展望

マウンサウンカー氏によれば、BPLAは恒久的な武装組織である意図はなく、ミャンマーにおいて真の文民政権が樹立され、民主的な統治が回復された際には、その活動を停止し解散する方針であるとされています。これは、彼らの武装闘争があくまで軍事政権という非民主的な支配体制に対する一時的な抵抗手段であるという認識に基づいています。

BPLAは、ミャンマーの複雑な政治状況と民族問題が交錯する中で生まれた新たな武装組織であり、その目的は単なる軍事抵抗にとどまらず、より公正で平等な多民族連邦国家の実現に向けた、深い政治的・社会的な変革を志向していると言えます。

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