バラカス (ブエノスアイレス)

バラカス(Barracas)

バラカスは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス特別区の南東部に位置する地区で、コムーナ4に属しています。この地区は現在、77,474人の人口を抱えており、周辺にはベルグラーノ南線の鉄道路線やリアチュエーロ川、さらにはレヒミエント・デ・パトリシオス通り、デフェンサ通りなどの主要な通りが通っています。興味深いことに、「バラカス」という名称は、原始的な建築スタイルを指す「バラカ」から派生しています。このように、場所の歴史的背景はその名にも反映されています。

歴史的背景

バラカスの歴史は18世紀に遡り、この地域では皮なめしや屠殺が行われていました。このような産業は労働者が集まる地域としての特性を持ち、彼らの生活を支える基盤となりました。1791年3月24日、リアチュエーロ川に架けられた橋は、当時多くの人々にとって重要な交通手段となりました。この橋は、イギリスのラプラタ川侵略の際にも戦略的な役割を果たしましたが、1858年には洪水によって部分的に破壊され、再建の過程で多くの問題を抱えることになりました。1931年に現行の橋が完成するまでの間、コミュニティにおいて交通手段の確保は大きな課題でした。

19世紀の間、バラカスには裕福な家族が多く住んでおり、サンタ・ルシア通りは地区の商業活動の中心地として賑わいを見せていました。しかし、1871年に発生した黄熱病の流行は、この地区の人々の生活に大きな影響を及ぼしました。裕福な家族や中産階級の住民は市の北部へと移り住まざるを得なかったため、バラカスは労働者階級の中心地として知られるようになりました。それでも、20世紀の間には一定数の裕福なアルゼンチン人がこの地区に住み、引っ越した住民の邸宅を賃貸住宅として保ち続けました。

近代の変化

20世紀の中頃からも、イタリア系移民など多様なバックグラウンドを持つ住民がバラカスに流入し、地区の文化的な色合いを豊かにしました。小さなカフェが低所得者層を引き寄せ、地域社会の一部としての特色を形成しました。しかし、1980年頃から地区の工場が次々と閉鎖され、経済の動向に大きな影響を与えました。工業地帯が経済の主力であったこの地区は、その後の都市の発展によって新たな方向性を模索する必要がありました。

1980年代には、高速道路の建設が行われ、地区の景観に変化をもたらしました。この際、2つの公園や20以上の住宅が取り壊されましたが、地域住民にとっては新しい交通手段の確保というメリットも生まれました。また、1987年に公開された映画「スール/その先は……愛|スール_その先は……愛」は、バラカスを舞台に、労働者の苦悩を描いた作品であり、監督のフェルナンド・E・ソラーナスはカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しています。

1990年代には地元のアーティストによる再開発プロジェクトが進行し、ラニン通りの建物にアートペイントが施されました。特にピッカルーガ織物工場は、高級ロフトへの転換がなされ、2008年に形を変えて新たな活力が注入されました。歴史的背景や文化的変遷とともに、バラカスは依然として魅力的な地区であり、将来的にも地域の発展が期待されています。

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