バリアフリートイレ

バリアフリートイレは、バリアフリーとユニバーサルデザインの理念に基づき、様々な機能と設備を備えたトイレです。多目的トイレや多機能トイレとも呼ばれますが、国土交通省は「バリアフリートイレ」の名称を推奨しています。2000年代初頭には「障害者トイレ」と呼ばれ、障害者専用という認識が強かった時代もありました。

バリアフリートイレの概要

バリアフリートイレは、身体の不自由な方だけでなく、高齢者、乳幼児連れ、妊婦など、様々な人が快適に利用できるよう設計されています。

主な設備は以下の通りです。

広い個室: 車椅子での利用を考慮し、通常のトイレよりも広いスペースが確保されています。
オストメイト対応設備: 人工肛門や人工膀胱を使用している方向けの設備です。
おむつ交換シート、ベビーチェア: 乳幼児連れの方が安心して利用できます。
手すり: 高齢者や体の不自由な方が立ち座りをサポートします。
折り畳みベッド: 必要に応じて横になれるスペースです。
着替えボード: 床に座って着替える際に便利な足台です。

近年では、性別に関わらず利用できる「ユニセックストイレ」や「オールジェンダートイレ」とは別に設置されることが推奨されています。

日本におけるバリアフリートイレの歴史

1994年のハートビル法制定により、公共施設や大規模商業施設などでバリアフリートイレの設置が広まりました。2000年の交通バリアフリー法制定により、駅への設置も進みました。駅のトイレは、鉄道事業者によって「多機能トイレ」（JR東日本）、「だれでもトイレ」（京王電鉄）など、様々な名称で呼ばれていました。2006年にはバリアフリー新法が制定され、建築物と公共交通機関におけるバリアフリー化の法規制が統合されました。

名称変更と課題

2021年2月、国土交通省は「建築物のバリアフリー設計方針」を改定し、施設管理者に対し、「多目的トイレ」の名称を「高齢者障害者等用便房（バリアフリートイレ）」に改めるよう通知しました。「多目的」「誰でも」といった名称が、バリアフリー設備を必要としない人の利用を促し、本当に必要とする人が利用できない状況を改善するためです。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、バリアフリートイレの利用に関する議論が活発化しました。本来の目的とは異なる利用により、バリアフリー設備を必要とする人が利用を妨げられるという課題を解決するため、更なる取り組みが求められています。

関連情報

バリアフリー
ユニバーサルデザイン
* 多目的室

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