バルスーズ

映画『バルスーズ』解説

『バルスーズ』（原題：Les Valseuses）は、1974年に公開されたフランス映画。ベルトラン・ブリエが監督を務め、犯罪に明け暮れる青年たちの破天荒な生き様と、タブーに挑む性描写を、独特のユーモアを交えて描いた作品です。原題の「Les valseuses」は、フランス語で「ワルツを踊る女たち」という意味の他に、睾丸を指すスラングとしても用いられています。

概要

本作は、ジェラール・ドパルデュー、ミウ＝ミウ、パトリック・ドヴェールの才能を世に知らしめるきっかけとなりました。また、ジャンヌ・モローや、映画『禁じられた遊び』で有名なブリジット・フォッセーといったベテラン女優、そしてデビュー間もないイザベル・ユペールが、体当たりの演技で観客を魅了しました。

日本では、公開翌年の1975年に劇場公開され、1995年には再上映もされています。

ストーリー

ジャン＝クロードとピエロは、盗みや暴力など、犯罪に手を染めながら日々を過ごす青年。ある日、彼らはスーパーで女性を襲い、逃走する際にマリ＝アンジュという若い女性と出会います。マリ＝アンジュは、夫に性的不能を苦に自殺未遂を図られた過去を持つ女性でした。ジャン＝クロードとピエロは、マリ＝アンジュを連れて、気ままな放浪の旅に出ます。道中、彼らは様々な人々との出会いと別れを経験し、刹那的な生を謳歌していく。ジャンヌ・ピロルという女性との出会いを通して、それぞれの心の奥底にある孤独や愛情、そして生と性への渇望が露わになっていく。

スタッフ

監督・脚本：ベルトラン・ブリエ
脚本：フィリップ・デュマルセル
撮影：ブルーノ・ニュイッテン
音楽：ステファン・グラッペリ
製作：ポール・クロードン

キャスト

ジャン＝クロード：ジェラール・ドパルデュー
ピエロ：パトリック・ドヴェール
マリ＝アンジュ：ミウ＝ミウ
ジャンヌ・ピロル：ジャンヌ・モロー
ジャック・ピロル：ジャック・シャイユー
電車に乗った女性：ブリジット・フォッセー
ジャクリーヌ：イザベル・ユペール

『バルスーズ』が描くもの

『バルスーズ』は、既存の価値観や社会の規範にとらわれず、自由奔放に生きる若者たちの姿を描いています。彼らは犯罪に手を染めながらも、刹那的な快楽を求め、本能の赴くままに行動します。その姿は、当時の社会に対するアンチテーゼであると同時に、人間の根源的な欲望や孤独を浮き彫りにしています。

過激な性描写や暴力描写も含まれますが、それらは単なる刺激ではなく、登場人物たちの感情や心理状態を表現する上で不可欠な要素となっています。ベルトラン・ブリエ監督は、ユーモアを交えながら、人間の複雑な内面を大胆かつ繊細に描き出しています。

評価

公開当時、『バルスーズ』はその過激な内容から賛否両論を呼びましたが、若者たちの心情をリアルに描いた作品として、多くの観客の心を捉えました。また、ジェラール・ドパルデューをはじめとするキャストたちの演技も高く評価され、彼らのキャリアを飛躍させる作品となりました。

外部リンク

Les valseuses - IMDb（英語）
バルスーズ - allcinema
* バルスーズ - KINENOTE

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