バルテルミー・フォジャ・ド・サン＝フォン

バルテルミー・フォジャ・ド・サン＝フォン（1741年-1819年）は、フランスにおける18世紀を代表する博物学者にして地質学者です。彼は、火山研究における先駆的な業績で知られています。

モンテリマールに生まれたサン＝フォンは、リヨンとグルノーブルで教育を受け、その後モンテリマールで役人として職に就きました。しかし、彼の真の情熱は自然科学、特に地質学にありました。休暇を利用してアルプスやマッシフ・サントラルの山岳地帯で精力的に調査を行い、フィールドワークを通じて貴重な知見を得ました。

1775年、彼はブレ地方でポゾラン（セメントの混和材）の鉱脈を発見、これは後に政府によって採掘されるほどの重要な発見となりました。この功績は、ビュフォンを始めとする著名な科学者たちの注目を集め、サン＝フォンは1776年にパリに招かれ、ルイ16世の下、王室の庇護を受けることになります。自然史博物館の博物学者助手として迎えられた彼は、その後、鉱山の王立委員会委員にも任命され、その地位を利用してイギリスを含むヨーロッパ各地を調査旅行しました。

サン＝フォンの主要な業績の一つに、1778年に発表された『VivaraisとVelayの休火山に関する研究』（Recherches sur les volcans éteints du Vivarais et du Velay）があります。この著作において、彼は火山の起源に関する独自の理論を展開し、後の火山研究に多大な影響を与えました。ヨーロッパ各地の岩石を調査した経験を活かし、岩石の形成過程に関する貴重なデータも収集しました。また、1787年には『イングランド、スコットランドおよびヘブリディーズ諸島旅行記』（Voyage en Angleterre, en Écosse et aux Îles Hébrides）を著し、旅行で得られた地質学的知見を詳細に記録しています。

地質学の研究以外に、サン＝フォンは産業、兵器、林業の委員も務め、多様な分野で才能を発揮しました。1793年にはパリ植物園の最初の地質学教授に就任し、1818年に引退するまでその職を全うしました。1794年には、オランダのマーストリヒト地域で発見された爬虫類の化石に関する著作も発表しています。さらに、当時の最先端技術であったモンゴルフィエ兄弟の気球飛行にも強い関心を持ち、『モンゴルフィエ兄弟の気球実験の説明』（Description des expériences de la machine aérostatique de MM. Montgolfier, &c.）を著しています。この他にも、『ドフィネ地方の自然史』（Histoire naturelle de la province de Dauphiné）、『火山の鉱物学』（Minéralogie des volcans）、『地質学論考』（Essai de géologie）など、数多くの著作を残しました。

彼の多大な貢献を称え、フォージャス沸石（faujasite）という鉱物が彼の名にちなんで命名されています。バルテルミー・フォジャ・ド・サン＝フォンは、地質学、鉱物学、そして気球研究にまで及ぶ幅広い研究活動を通じて、18世紀の科学発展に大きく貢献した、まさに多才な人物であったと言えるでしょう。

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