バルバラ・ダウストリア

バルバラ・ダウストリア（Barbara d'Austria, 1539年4月30日 - 1572年9月19日）は、フェラーラ公アルフォンソ2世・デステの二度目の妃として知られています。彼女は、神聖ローマ皇帝フェルディナント1世と皇后アンナ・ヤギエロの間に生まれた第八子であり、その生涯は宮廷と信仰、そして慈善活動に彩られていました。

生い立ちと教育

バルバラは、1539年4月30日にウィーンで誕生しました。彼女は、姉のマグダレーネ、マルガレーテ、ヘレーネ、妹のジョヴァンナと共に、1547年以降インスブルックの宮殿で育てられました。この時期に、彼女は信仰心の篤い人物へと成長しました。宮廷での生活は、彼女に教養と品格を与え、後の彼女の行動に影響を与えました。

結婚と宮廷生活

バルバラは、容姿が優れていたとは言えませんでしたが、彼女の家柄と人柄から、縁談は途切れることがありませんでした。1565年、彼女はフェラーラ公アルフォンソ2世・デステと結婚しました。夫婦仲は良好であったと伝えられていますが、残念ながら二人の間に子供は恵まれませんでした。フェラーラ宮廷では、詩人トルクァート・タッソがバルバラに数々のソネットを捧げたことでも知られています。このことから、彼女が文化的にも高い関心を持たれていたことが伺えます。

慈善活動と信仰

バルバラは、1570年と1571年に発生した地震で親を失った少女たちを深く憂慮し、私財を投じて彼女たちの支援を行いました。この慈善活動は、彼女の深い慈愛の心を物語っています。また、バルバラは定期的にイエズス会と接触し、信仰生活を大切にしていました。義母であるレナータはプロテスタントに同情的でしたが、バルバラは彼女とも非常に親密な関係を築いていたと伝えられています。宗教的な違いを超えて人間関係を大切にする姿勢は、彼女の温かい人柄をよく表しています。

病と死

1566年以降、バルバラは病気がちになり、1572年、肺結核のために33歳という若さでこの世を去りました。彼女の早すぎる死は、多くの人々に惜しまれました。夫アルフォンソ2世は、1579年にバルバラの姪であるマルゲリータ・ゴンザーガを3番目の妻として迎えました。しかし、バルバラの慈善活動や信仰心は、人々の心に深く刻まれ、長く語り継がれています。バルバラ・ダウストリアは、その短い生涯の中で、多くの人々に愛と希望を与えた、記憶されるべき女性と言えるでしょう。

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