バルフルール岬とラ・オーグの海戦

バルフルール岬とラ・オーグの海戦

バルフルール岬とラ・オーグの海戦は、1692年5月29日から6月4日までの期間に行われた一連の海戦です。この海戦は大同盟戦争の一環として、イングランド王国とネーデルラント連邦（オランダ）の連合艦隊とフランス王国の艦隊間で行われました。最初の戦闘はバルフルール岬付近で行われ、その後コタンタン半島のシェルブールやサン＝ヴァースト＝ラ＝ウーグに移りました。

背景

フランスは当時、イングランドのジェームズ2世の復位を支援するため、トゥールヴィル伯アンヌ・イラリオン・ド・コタンタン提督の指揮の下、44隻の戦列艦を集めて侵攻準備を進めていました。2年前のビーチー・ヘッドの海戦での勝利を受け、フランスはイングランドへの上陸の可能性を高めており、海軍の大臣であるルイ・フェリポー・ド・ポンシャルトランが復位作戦を進言していました。

一方、英蘭連合艦隊も準備を進め、イングランド艦隊はワイト島のセント・ヘレンズに集結し、指揮官ラルフ・デラヴァルやリチャード・カーターらの統率の下で艦隊を強化していました。しかし、フランス艦隊は予想以上に集結が遅れ、各艦隊の調整が難航しました。

バルフルール岬での海戦

5月29日、バルフルール岬沖で両艦隊が接触した際、トゥールヴィル提督は戦闘の回避を勧める意見が多かったものの、フランスとイングランド間の敵対的状況を考慮し結局交戦の決断が下されました。最初の交戦は昼前に始まり、両艦隊は砲撃戦を行いました。風が悪く、長時間の接触が続く中で、両艦隊ともに損害を被りましたが、沈没した艦船はなかったというのが驚くべき点です。

追撃戦とラ・オーグでの海戦

その後、フランス艦隊は撤退を余儀なくされ、逆風の中で苦戦しました。トゥールヴィルは状況が厳しくなったため、最終的に旗艦をアンビテューに移乗し、より安全な航行を試みました。フランス艦が北へ分散する中、イングランド艦隊は追撃を続け、その結果、ラ・オーグにてイングランド艦隊がフランス艦隊に対して決定的な攻撃を行い、シェルブールで連続的な攻撃を受けたフランス艦隊は全滅に追い込まれました。

この一連の戦況は、フランスのイングランド侵攻計画を台無しにし、イングランドにおける勝利を祝う観艦式が行われるなど、国民に強い影響を与えました。海戦の結果は、イングランドとフランスの海軍戦力の移り変わりを象徴する重要な出来事となりました。

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