バンドン工科大学

バンドン工科大学（Institut Teknologi Bandung, ITB）は、インドネシアのバンドン市に位置する、国内屈指の理工系国立大学です。その歴史は、オランダ植民地時代の1920年に設立された「バンドン工業高等学校」（Technische Hoogeschool te Bandung）にまで遡ります。

歴史

バンドン工科大学は、インドネシア初の技術系高等教育機関として、当初は小規模な学部と学科からスタートしました。その後、日本の占領下では「工業大学」と改称されましたが、1945年の独立戦争を機に「インドネシア大学の工学部」へと組織と名称が変更されました。そして、1959年3月に現在の「バンドン工科大学（Institut Teknologi Bandung）」としての地位を確立しました。

特徴

現在では、バンドン工科大学はインドネシアで最も優れた理工系大学の一つとして高く評価されています。入学には、統一大学入学試験での合格か、高校卒業時の全国試験結果に基づく推薦が必要です。入学難易度は非常に高く、2009年には約42万人の受験者の中から上位2,000人弱のみが合格しました。2022年の学部定員に対する受験者の比率は、わずか3%から19%程度であり、インドネシアで最も人気が高く、入学が難しい大学の一つとされています。特に、電子電気情報系（School of Electrical Engineering and Informatics）や産業工学系（Faculty of Industrial Technology）は、他の国立大学の医学部よりも高い入学試験スコアが求められます。

教育と研究

バンドン工科大学は、学長、理事、評議員会のもと、教務、事務、学生、文化・コミュニケーション、計画・運営管理の各部門を担当する5人の副学長が組織運営を担っています。学部は、数学・自然科学部、産業工学部、土木建築学部、鉱山学部、芸術デザイン学部など多岐にわたり、大学院（修士課程、博士課程）も設置されています。また、研究所、産学共同機関、図書館やコンピュータセンターなどの学術施設、教務部、事務部、経理部、学生部、計画・情報システム部など、充実した付属機関も擁しています。

学部構成

数学・自然科学部：天文学科、生物学科、化学科、地学科、数学科、薬学科、物理学科
土木建築学部：地域学科、環境工学科、都市計画学科、建築設計学科
工業技術学部：電気工学科、応用物理学科、工業工学科、情報学科、化学工学科、機械工学科、航空工学科
鉱山学部：鉱山工業学科、地学科、石油工業学科
工芸及びデザイン学部：工芸学科、デザイン学科

現在の組織では、以下の学部が設置されています。

地球科学技術学部（FITB）
数学・自然科学部 (FMIPA)
美術・デザイン学部（FSRD）
産業技術学部（FTI）
機械航空工学部 (FMAE)
鉱業・石油工学部（FTTM）
土木環境工学部（FTSL）
建築・計画・政策開発学部（SAPPK）
ビジネス・マネジメント学部（SBM）
薬学部（SF）
生命科学技術学部 (SITH)

大学関係者

バンドン工科大学は、多くの著名な人物を輩出しています。初代インドネシア大統領のスカルノは1926年にこの学校を卒業しています。また、第3代大統領のユスフ・ハビビ氏は、1954年に入学しましたが、ドイツ留学のため中退。後に西ドイツのアーヘン工科大学で航空工学の博士号を取得しました。

対外関係

バンドン工科大学は、多くの海外大学と提携関係を結んでいます。日本の大学では、東北大学、東京工業大学、東京大学、中央大学（理工学部とダブルディグリー提携）、東京農工大学、電気通信大学、東京工科大学、武蔵野美術大学、千葉大学、豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学、金沢大学、広島大学、愛媛大学、九州工業大学、大阪大学などが提携校として挙げられます。

まとめ

バンドン工科大学は、インドネシアの科学技術発展を牽引する重要な役割を果たしています。高い教育水準と充実した研究設備により、国内外から高い評価を得ている、インドネシアを代表する大学です。

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