バーゼルの和約 (1499年)

バーゼルの和約：シュヴァーベン戦争の終結とスイスの変革

バーゼルの和約は、1499年9月22日に締結された、シュヴァーベン同盟と原初同盟間の休戦協定です。ドルナッハの戦いを経て、この和約はシュヴァーベン戦争に終止符を打ち、その後のスイスの歴史に大きな影響を与えました。

和約の内容

この和約により、戦争前の状態に領土が回復されました。特に重要な点として、十裁判区同盟の加盟区のうち8つは、名目上ハプスブルク家の支配下にあることが確認されたものの、同盟への加盟と原初同盟との連携は維持されることになりました。これは、ハプスブルク家の影響力を残しつつも、原初同盟の自治を尊重する妥協案と言えるでしょう。

また、これまで帝国からコンスタンツ市に貸し出されていたトゥールガウ州の管轄権が、原初同盟に移譲されたことは、原初同盟の勢力拡大を示す重要な出来事でした。さらに、スイスの邦人に対する帝国アハト刑（帝国追放刑）と、すべての禁輸措置が廃止されたことは、スイスの経済的、政治的地位の向上に繋がりました。

歴史的意義

19世紀のスイス史学では、バーゼルの和約は、原初同盟が神聖ローマ帝国から「事実上の」独立を果たすための重要な一歩と解釈されてきました。ヴィルヘルム・オクスリは、この条約によって「ドイツがスイスの独立を認めた」と表現しました。しかし、20世紀の研究では、当時の盟主たちが神聖ローマ帝国からの離脱を目指していたという明確な証拠がないため、この解釈は必ずしも支持されていません。

しかし、バーゼルの和約が原初同盟を帝国内の政体として大きく強化したことは否定できません。この和約の後、1501年にはバーゼルとシャフハウゼンが原初同盟に加盟し、中世末期の8州体制から近世初期の13州体制へと拡大していく過程で、重要な役割を果たしました。

まとめ

バーゼルの和約は、単なる休戦協定にとどまらず、スイスの歴史における転換点となりました。領土の回復、管轄権の移譲、禁輸措置の廃止など、具体的な成果をもたらすと同時に、原初同盟の地位を向上させ、その後のスイスの発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

関連項目
条約の一覧
脚注

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