バーニーズ・バージョン ローマと共に

『バーニーズ・バージョン ローマと共に』は、モルデカイ・リッチラーの小説を原作とするカナダ映画です。主人公バーニー・パノフスキーは、長年テレビドラマ制作に携わる人物。しかし、彼の私生活は決して順風満帆ではありません。幾度となく愛と別れを繰り返し、過去の影に常に付きまとわれています。

物語は、バーニーが殺人容疑で刑事から追及される場面から始まります。彼は、かつて親友の失踪事件に関与した疑いをかけられており、その疑惑が彼の現在に暗い影を落としています。この事件をきっかけに、バーニーは自身の半生を振り返ります。

若い頃、ローマで自由奔放な生活を送っていたバーニーは、ある女性と結婚しますが、不幸な出来事を経て別れを告げます。その後、モントリオールに戻った彼は、裕福な女性と結婚しますが、その結婚式で運命の女性ミリアムに出会います。ミリアムへの強い想いを抱くバーニーは、最初の妻と離婚してミリアムと結婚します。しかし、幸せな結婚生活は長くは続きません。子供たちが成長し、ミリアムが仕事に復帰すると、二人の関係は徐々に冷え込み、最終的には離婚という結末を迎えます。

ミリアムとの離婚後、バーニーはミリアムの新しい夫に嫌がらせをするなど、未練を断ち切れません。しかし、バーニー自身もまた、認知症を患い始め、記憶を失っていく中で、過去の出来事やミリアムへの想いを曖昧にさせていきます。

物語の中で重要な要素となるのが、バーニーの親友ブーギーの失踪事件です。刑事オハーンは、バーニーを殺人犯と疑いますが、ブーギーの遺体は発見されません。やがてバーニーは認知症が悪化し、ミリアムは彼を看取る形で物語は終わります。バーニーの死後、意外な形でブーギーの遺体が見つかり、失踪の真相が明らかになるという、意外な展開が待っています。

この映画は、単なる恋愛ドラマではありません。人間の複雑な感情、人生の不条理、そして過去の過ちと向き合うことの難しさなどが、ユーモラスなタッチとシリアスな展開が織り交ぜられて描かれています。ポール・ジアマッティがバーニーを熱演し、ダスティン・ホフマン、ロザムンド・パイクら実力派俳優が脇を固める豪華なキャストも見どころです。

監督のリチャード・J・ルイスは、複雑な物語を巧みに構成し、観客を惹きつけます。笑いと涙、そして考えさせられる要素が詰まった、見応えのある作品となっています。バーニーの奔放な人生と、愛と別れを繰り返す姿を通して、人生の意味や幸福とは何かを問いかける、深い感動を呼ぶ映画です。ヴェネツィア国際映画祭出品という事実は、この映画の質の高さを証明しています。Rotten Tomatoesでの高い支持率も、その評価の高さを裏付けています。興行収入も好調で、世界中で多くの観客を魅了しました。

キャストには、バーニー役のポール・ジアマッティをはじめ、彼の父親役のダスティン・ホフマン、ミリアム役のロザムンド・パイクなど、実力派俳優が名を連ねています。また、アトム・エゴヤンやデヴィッド・クローネンバーグといった著名な監督もカメオ出演しているなど、映画ファンにとっても見逃せない作品となっています。

もう一度検索