バーバラ・カートランド

バーバラ・カートランド：ロマンスの女王、その華麗なる生涯

バーバラ・カートランド（1901年7月9日 - 2000年5月21日）は、イギリスを代表するロマンス作家であり、歴史家、脚本家、政治演説家、講師、そしてテレビ・ラジオの司会者としても活躍しました。彼女は20世紀において、最も商業的に成功した作家の一人として知られています。

多作な作家

カートランドは生涯で723もの作品を執筆し、その作品は36か国語に翻訳されました。彼女は「1年で最も多くの小説を出版した作家」としてギネス世界記録に1976年から登録されており、その記録は現在も破られていません。バーバラ・カートランド名義で数えきれないほどのロマンス小説を執筆する傍ら、結婚後の名であるバーバラ・マッコーコデール名義の作品も存在します。彼女の作品は小説、演劇、詩歌、ドラマ、雑誌の記事、オペレッタなど多岐にわたり、その総売上は7億5000万部から10億部にも及ぶとされています。19世紀のヴィクトリア朝を舞台にした純愛ロマンスを得意とし、作品のカバーには肖像画風のデザインが用いられていました。

生い立ちと家族

カートランドは、イギリス軍の士官であった父バートラム・カートランドと、母メアリー・“ポリー”・ハミルトン・スコーベルの間に、長女として生まれました。カートランド家は中流階級でしたが、第一次世界大戦で父親が戦死し、さらに祖父が破産して自殺したことで、一家の財政は苦境に立たされました。しかし、母親はロンドンでドレスショップを開き、子供たちを育てました。

作家としてのキャリア

ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせた後、1922年に処女作『Jigsaw』を発表。この作品はベストセラーとなり、彼女はロマンス作家としての地位を確立しました。しかし、初期の作品には、他者の作品からの剽窃疑惑も浮上し、物議を醸しました。それでも、カートランドの作品は常に人気を博し、1983年にはギネス世界記録に「単年度執筆最多作家」として登録されました。

多彩な活動

カートランドは作家活動の傍ら、音楽アルバムを発表したり、航空業界に貢献したりするなど、多岐にわたる活動を行いました。また、政治にも関心を持ち、地方議会議員を務めた時期もありました。彼女はメディアにも積極的に登場し、恋愛、結婚、政治、宗教、ファッションなどについて積極的に発言しました。

人間関係

カートランドは2度の結婚を経験し、3人の子供をもうけました。また、ルイス・マウントバッテンとは長年の友人関係にあり、彼の死を「人生で最大の悲しみ」と表現しました。義理の孫にあたるダイアナ元皇太子妃との関係は複雑でしたが、晩年には関係が修復されつつありました。

死と遺産

2000年5月21日、カートランドは98歳で自宅にて息を引き取りました。彼女の死後、遺された作品は息子によって電子書籍として発表され、現在も多くの読者に愛されています。

バーバラ・カートランドは、ロマンス小説界における不朽の存在であり、その作品と生涯は、多くの人々に影響を与え続けています。

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