バーモント共和国

バーモント共和国

バーモント共和国（Vermont Republic）は、1777年にイギリスからの独立を果たした政体で、1791年にアメリカ合衆国の一州、バーモント州となるまで存続しました。バーモントは、その歴史において、現在のアメリカ合衆国には見られない独自の政治文化と政府体系を持っていました。

歴史的背景

バーモント地域は1763年のパリ条約によってイギリスの領土となりましたが、その支配はニューヨーク植民地とニューハンプシャー植民地の間の対立によって複雑化しました。ニューハンプシャー植民地の特権地としての権利と、ジョージ3世によるニューヨークの領有権の主張が相互に関連し、地元の住民は権利を巡って紛争に巻き込まれていました。

1775年にアメリカ独立戦争が勃発すると、バーモント地域の反乱軍、グリーン・マウンテン・ボーイズが現れ、イギリスに対抗し始めました。戦争の進展により、イギリス軍はバーモントを制圧する能力を失い、地域の住人たちによって1777年1月にニューコネチカット共和国としての独立が宣言されました。その後、この名前が「バーモント」に改められ、フランス語で「緑の山」を意味する「les Verts Monts」に由来しています。

政府の構造

バーモント共和国の憲法は、1777年にイライジャ・ウエストによって起草され、ウィンザーの酒場で批准されました。これは北アメリカで初めての成文憲法であり、世界においても奴隷制度を禁止する最初の憲法として知られています。また、バーモントの憲法では、所有資産にかかわらず全ての成人男性に選挙権を保障しました。このような先進的な内容は、当時の社会において特異なものでした。

政府機関は独自の通貨を発行し、郵便制度も整備されました。共和国を統治したトマス・チッテンデン知事は、委員会と一院制議会の承認を得て、フランス、オランダ、そしてフィラデルフィアにあるアメリカ連合政府への大使を派遣しました。しかし、バーモントは「気乗りしない共和国」とも称され、多くの住人がアメリカ合衆国との政治的連携を望んでいました。

アメリカ合衆国への加入

バーモント共和国は、アメリカ合衆国が憲法を制定した1791年まで独立国の地位を維持しました。加入の際、バーモントは奴隷制度のない州としてケンタッキー州の対極に位置し、他の北部小州や西部地域の州からの支持を得ました。トマス・チッテンデンは共和国としての活動が長く続き、バーモント州初の知事としてもその役割を担うことになりました。

1793年、バーモント州憲法は1777年の共和国憲法を基盤にしつついくつかの修正が施され、三権分立が強調されました。その後の修正を経て、今日に至るまでの州憲法に至っています。

結論

バーモント共和国は、アメリカの歴史の中で特異な位置を占める存在です。独立国家としての時期を経て、新しい政治理念をもってアメリカ合衆国の一部となったその過程は、今日のバーモント州の文化や政治にも影響を与えています。

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