パイオニア6,7,8,9号機

パイオニア6号から9号機：太陽系探査の先駆者たち

パイオニア6号、7号、8号、9号機は、NASAのパイオニア計画において、惑星間空間の継続的な観測を目的として設計された太陽周回探査機です。これらの探査機は、太陽風、太陽磁場、宇宙線に関する詳細なデータを収集し、太陽系における様々な現象の解明に大きく貢献しました。それぞれの機体は、パイオニアA、B、C、Dとしても知られています。

目的

パイオニア6号から9号機の主な目的は、太陽風、太陽磁場、宇宙線に関する包括的な測定を行うことでした。これらの探査機は、惑星間空間の磁気現象や、粒子や場の観測に特化して設計されました。取得されたデータは、恒星の活動や構造、太陽風の流れの研究に役立てられました。また、これらの探査機は、世界初の太陽気候ネットワークとして機能し、地球の通信に影響を与える太陽嵐の粒子に関する重要な情報を提供しました。

具体的な観測対象としては、太陽風中の陽イオンと電子、惑星間の電子密度、太陽や銀河からの宇宙線、惑星間磁場などが挙げられます。

探査機の構造

各探査機は、ほぼ同一の設計で、軌道上での乾燥重量は146kgです。直径0.94m、高さ0.81mの円筒形をしており、1.8mの長さの磁力計と太陽電池パネルを備えています。メインアンテナは、高利得の指向性アンテナです。

探査機は、約1Hzのスピン安定方式を採用しており、スピン軸は黄道面に垂直で天の南極を指しています。

通信システム

地上からの指令により、5種類のビットレート、4種類のデータフォーマット、4種類の運用モードが選択可能です。

ビットレートは、512、256、64、16、8ビット/秒の5種類。データフォーマットは、科学データが中心の3種類と技術データが中心の1種類です。科学データフォーマットは、フレームごとに7ビットのワード32個で構成され、高速ビットレートと低速ビットレートの組み合わせで使用されます。4つ目のフォーマットは、主に技術データが含まれています。

運用モードは、リアルタイム、遠隔貯蔵、負荷サイクル貯蔵、メモリ読出しの4種類。リアルタイムモードでは、収集したデータが直接送信され、遠隔貯蔵モードではデータが一時的に保存された後に送信されます。負荷サイクル貯蔵モードでは、科学データが一定間隔で収集・保存され、メモリ読出しモードでは、保存されたデータを任意のビットレートで読み出すことができます。

運用状況と現在

パイオニア6号から9号機の計画は、NASAの宇宙探査計画の中でも特に費用対効果の高いプロジェクトの一つとして評価されています。設計寿命はわずか6ヶ月でしたが、実際には長期間にわたり運用されました。

パイオニア6号は、2000年12月8日に打ち上げ35周年を記念して通信に成功しましたが、その後通信が途絶え、現在は「現存」とされています。この探査機の運用期間は12,758日に及び、2012年8月13日にボイジャー2号に更新されるまで、宇宙探査機の最長運用記録でした。

パイオニア7号と8号は、現在でも通信可能であると考えられています。一方、パイオニア9号は通信不能となっています。

各探査機の詳細

パイオニア6号

1965年12月16日に打ち上げられ、平均距離0.8天文単位の太陽軌道に投入されました。1995年に進行波管が故障しましたが、1996年にバックアップの進行波管を使用するように指示されました。2000年12月8日には、約2時間の交信に成功しました。

パイオニア7号

1966年8月17日に打ち上げられ、平均距離1.1天文単位の太陽軌道に乗りました。1986年には、ハレー彗星から1230万kmの距離を通過し、彗星の尾と太陽風の相互作用を観測しました。1995年3月31日には追跡に成功し、探査機と科学機器の一部が機能していることが確認されました。

パイオニア8号

1967年12月13日に打ち上げられ、平均距離1.1天文単位の太陽軌道に投入されました。1996年8月22日にバックアップの進行波管を使用するように指示され、下り信号が復活し、科学機器の一部が機能を取り戻しました。

パイオニア9号

1968年11月8日に打ち上げられ、平均距離0.8天文単位の太陽軌道に乗りました。1983年5月まで通信は維持されていましたが、1987年の通信は失敗しました。

パイオニアE

1969年8月27日に打ち上げられましたが、第一段ロケットの油圧ブレーキの故障により、発射場安全のため破壊されました。

まとめ

パイオニア6号から9号機は、太陽風や宇宙線の観測において重要な役割を果たし、太陽系の物理現象の理解を深める上で欠かせない存在です。これらの探査機が収集したデータは、その後の宇宙探査に大きな影響を与えました。

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