パイスラッシュ

パイスラッシュ（π/）とは

パイスラッシュ（パイスラ、π/）とは、衣服を着た女性の胸が、シートベルトや斜めがけのハンドバッグなどによって斜めに分断され、その結果として胸の形が強調された状態を指す、日本で生まれた俗語です。この名称は、日本語で乳房を意味する「パイ」という言葉と、ギリシャ文字の「π」の読み方が同じであることに由来しています。

パイスラッシュの歴史

パイスラッシュという言葉が初めて使われたのは2006年。あるオタクが、たすき掛けにしたカバンによって強調された胸を「π/」と名付けたのが始まりとされています。このネーミングに対しては、「上手い表現だ」と評価する声もあれば、「妄想的な単語だ」と否定的な意見を述べるライターもいました。

2006年11月には、パイスラッシュをテーマにした同人誌即売会「π／」が開催され、その後も2010年、2012年と回を重ねました。

2012年には、大根篤徳と青山裕企という2人の写真家が、それぞれパイスラッシュをテーマにした写真集を出版しました。青山裕企は、写真集の取材に対し「露出が少ないからこそ、胸の形が強調されるパイスラッシュこそフェティシズムの極意」と語っています。ライターのたまごまごは、パイスラッシュが人々を惹きつける理由について「露出がないにも関わらず胸の形を想像させ、イメージを刺激するからだ」と分析しています。

2014年には、リイカからAndroid用アプリ「パイスラッシュ！」がリリースされました。これは、画面に表示された女性のシルエットから胸の谷間を推測し、指で斜線を引くというゲームで、正解に近いほど高得点が得られるというものです。

パイスラッシュに対する反応

パイスラッシュに対しては、肯定的な意見ばかりではありません。「気持ち悪い」「不気味だ」といった否定的な意見も存在します。台湾では「U/U」という類似の表現も使われています。

パイスラッシュの文化的言及

漫画『SKET DANCE』の番外編では、登場人物たちが斜めがけの鞄によって胸が分断された状態に名前をつけるとしたら何が良いかを議論するシーンが描かれています。この時点ではまだ「パイスラッシュ」という名称は登場していません。

2017年には、テレビ番組『おぎやはぎの「ブス」テレビ』で、磯山さやかのパイスラッシュにおぎやはぎの2人が興奮する様子が放送されました。

このように、パイスラッシュは、一部の人々にとっては好意的に受け止められる一方で、嫌悪感を抱く人もいるという、賛否両論のある概念と言えるでしょう。

関連情報

関連書籍

Herman Chen, Mark Jan, Kevin Wang 『π slash 無法停止凝視的胴體』(Sharp Point Press、2013年。 ISBN 9789571052540)
青山裕企『パイスラッシュ ―現代フェティシズム分析―』(エンターブレイン、2012年9月20日。ISBN 978-4-04728231-5)
* 大根篤徳『ぱいすら女子』(グライドメディア、2012年6月28日。ISBN 978-4-81302188-9)

もう一度検索