パイプベンダー

パイプベンダーとは

パイプベンダー（Pipe Bending Machine）は、金属製の管（パイプ）を、常温で潰すことなく曲げるための専用工具または機械です。主な目的は、パイプを変形させることなく、滑らかな曲げ形状を作り出すことです。パイプベンダーは、その動力源によって、手動式、電動式、油圧式（手動または電動）に分類されます。また、チューブベンダー（Tube bender）と呼ばれることもあります。

日本ではあまり一般的ではありませんが、「管曲げ機」とも呼ばれます。現場作業では、単に「ベンダー」と呼ばれることが多いです。パイプベンダーと類似の工具・機械として、鋼材を曲げるためのメタルベンダー（Bending Machine, Metal Bender）がありますが、こちらは対象材が異なります。

パイプベンダーの種類

パイプベンダーには、様々な種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。

スプリングタイプベンダー

スプリングタイプベンダーは、主に軟銅やアルミニウムなどの柔らかい金属管を曲げるのに使用されます。外径用と内径用があり、それぞれ使用方法が異なります。

外径用スプリングベンダー

サイズ：1/4", 5/16", 3/8", 7/16", 1/2", 5/8"
使い方：
1. 曲げたいパイプの外径に合ったサイズのベンダーを選ぶ。
2. 曲げたい箇所の中央にベンダーを滑り込ませる。
3. 両手でベンダーを掴み、曲げる。
4. ベンダーの端部を掴み、引き抜いて取り外す。

外径用ベンダーは、パイプの潰れを防ぎながら、滑らかな曲げを実現します。

内径用スプリングベンダー

サイズ：3/8", 1/2", 5/8"
使い方：
1. 曲げたいパイプの内径に合ったサイズのベンダーを選ぶ。
2. 曲げたい箇所の中央にベンダーを挿入する。
3. 両手でパイプを掴み、曲げる。
4. ベンダーがパイプから突き出ている場合は、引き抜いて取り外す。そうでない場合は、針金などで取り出す。

内径用ベンダーは、パイプの両端がフレア加工されている場合に使用されます。

手動パイプベンダー

レバー式のハンドパイプベンダーは、ハンドル、半円ブロック、クリップ、スライドバーの4つの部品で構成されています。半円ブロックには、0度から180度までの曲げ角度がマークされています。

使い方：
1. パイプをツールに挿入し、マークを合わせる。
2. スライドバーを動かし、半円ブロック上の曲げ角度の印に合わせて曲げる。

このタイプのベンダーは、3/16", 1/4", 5/16", 3/8", 1/2"のサイズがあります。より大きな寸法のパイプには、回転軸式のベンダーが使用されます。大型のベンダーには、ギアが搭載されており、より大きな力を加えて曲げることができます。これらは、ラチェット式ベンダーやギアタイプベンダーと呼ばれます。

パイプベンダーの用途

パイプベンダーは、様々な分野で活用されています。

空調機器の配管
電線管の曲げ加工
自動車のマフラーやブレーキパイプの曲げ加工
家具（テーブルの脚、椅子など）のパイプ加工

主要メーカー

手動式銅管用パイプベンダーの主要メーカーとしては、海外ではインペリアル（IMPERIAL）、国内ではスーパーツールがよく知られています。その他、アサダ（ローテンベルガー製）、RIDGIDなどがあります。油圧式では泉精器製作所、電動ベンダーではイタリアのエルコリーナ（ERCOLINA）が有名です。

まとめ

パイプベンダーは、配管工事から家具製作まで、幅広い分野で不可欠な工具です。用途やパイプの材質、サイズに合わせて適切なベンダーを選択することが重要です。この記事を参考に、パイプベンダーの理解を深め、安全で効率的な作業にお役立てください。

脚注

関連項目
工具
工具の一覧
工具メーカーの一覧
外部リンク
Imperial社HP
ERCOLINA社HP

もう一度検索