パシフィック・アフェアーズ

パシフィック・アフェアーズ (Pacific Affairs)

『パシフィック・アフェアーズ』は、1926年に創刊されたカナダの季刊学術誌です。この雑誌は、アジア太平洋地域における現代の政治、経済、社会に関する学問的研究を専門としており、長い歴史を持つ研究誌として国際的に知られています。また、査読制度が導入されており、学術の信頼性が確保されています。

歴史的背景

この雑誌は、1926年に太平洋問題調査会（IPR）の不定期刊のニューズレター『ニューズ・ブレティン』としてスタートしました。1928年には誌名を変更し、正式に月刊誌として創刊されました。その後、1933年からは隔月刊、1934年からは季刊に移行しました。現在まで続いているこの雑誌は、1951年から24巻3号において副題として「極東・太平洋地域の国際評論誌」というタイトルを加えています。

戦前期には、中国と中央アジアの研究の先駆者であったオーウェン・ラティモアの編集長在任（1934年〜42年）が特に著名です。その後、彼の後を継いだWilliam L. Hollandもこの雑誌の発展に大きく寄与しました。

1961年には、IPRが政治的な圧力から解散に追い込まれますが、編集部はカナダのブリティッシュコロンビア大学に移転し、刊行を続けています。現在も同大学のアジア研究センターを拠点にしており、研究活動は継続されています。

編集方針と研究の内容

『パシフィック・アフェアーズ』の編集委員会は、編集長、副編集長を含む、サイモンフレーザー大学、ビクトリア大学、ノーザンブリティッシュコロンビア大学およびカナダ・アジア太平洋財団の代表者で構成されています。副編集長たちはそれぞれ異なるアジアの地域に特化し、専門的な視点から編集作業に貢献しています。

オンラインでの購読はインジェンタ社を通じて提供されており、1926年から発刊されたすべての号にアクセスできるJSTORも利用可能です。論文はオリジナルな研究を基にしたものだけでなく、「展望」と呼ばれる短い論文や、特定のテーマに基づく特集号も含まれています。

最近の号では、アジアにおける民主化の動向、国際的コミュニケーションの発展、日朝関係の現在、さらには東アジアにおける地域協定など、現代的な問題が取り上げられています。

書評と評価

本誌は毎号、アジア全域に関連する40本から50本の書評を発表し、特に社会科学や人文学の分野に焦点を当てています。これらの書評は、編集委員会から依頼された専門家によって執筆されており、特定テーマに基づくレビュー論文も掲載されています。これにより、各学者の見解を多面的に比較することができ、深く広がりのある議論が展開されています。

『パシフィック・アフェアーズ』は、自発的に依頼された書評を掲載することはなく、1860年代以前の古いテーマに関する著作は、現代の問題との関連性が明示的である場合に限って評価されます。これによって、雑誌は常に時代と関連性のある研究を提供し続けることを目指しています。

参考文献

• - William L. Hollandの回顧録, Paul F. Hooper編集, 龍渓書舎, 1995.

外部リンク

• - Pacific Affairs (公式サイト)

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