パストレイン

パストレイン（Port Authority Trans-Hudson, PATH）は、ニューヨーク州ニューヨーク市とニュージャージー州ニューアーク市を結ぶ鉄道網です。正式名称は「The Port Authority Trans-Hudson Corporation」で、その頭文字からPATHと呼ばれています。英語の「path」は「軌道」を意味し、まさに都市間を結ぶ軌道として機能しています。

全長22.2kmの路線は、ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社によって運営されており、4つの運転系統が設定されています。そのうち2系統は終夜運転で、ニューヨークとニュージャージーを結ぶ重要な交通手段となっています。ラッシュ時や昼間（平日6:00～23:00、土日祝日9:00～19:30）は4系統、深夜・早朝（平日23:00～6:00、土日祝日19:30～9:00）は2系統で運行されます。

路線一覧

ラッシュ時および昼間時：4系統
深夜時間帯：2系統

パストレインの歴史は古く、その始まりは1908年2月25日に遡ります。当時、ハドソン・アンド・マンハッタン鉄道として、19丁目駅とホーボーケン駅間が開通しました。この計画は1874年に立案されましたが、ハドソン川の開削という技術的な難題により、工事開始は1890年となりました。資金難などの問題も重なり、開通まで30年以上の歳月を要しました。

1911年までに、現在の路線網である33丁目駅とニューアーク・ペン駅間が開業し、ハドソン川対岸の都市とニューヨーク間の連絡輸送、ジャージーシティやホーボーケンを起点とするエリー鉄道やデラウェア・ラッカワナ・アンド・ウェスタン鉄道との接続で重要な役割を果たしました。1920年代後半には最盛期を迎えましたが、大恐慌や自動車トンネルの整備により利用客は減少し、コスト上昇に対して運賃改定が追いつかない状況となりました。1954年には、ハドソン・アンド・マンハッタン鉄道は債務超過に陥りました。

しかし、ハドソン川を連絡する重要な通勤路線であるため、廃止することはできませんでした。ニューヨークとニュージャージー両州にまたがる路線であるため、各自治体の思惑の違いから抜本的な対応は遅れ、1962年にようやくニューヨーク港湾公社が運営を引き継ぎました。港湾公社は買収したマンハッタンのハドソン・ターミナルをワールドトレードセンターの敷地として利用し、マンハッタン南部の再開発を行いました。この再開発は、公共交通整備や維持のための資金確保に役立ち、利用客の大幅な増加につながりました。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件で、ワールド・トレード・センター駅は破壊されましたが、33丁目駅を使った仮系統のホーボーケン経由ニューアーク-33丁目線を設定することで運行は継続されました。2003年11月にはワールドトレードセンター跡地に仮駅が再開され、2009年には新ターミナルが完成しました。ただし、ワールド・トレード・センター・トランスポーテーション・ハブ全体の完成は2015年です。駅は、長いエスカレーターを降りた先にある自動改札機の下に位置しています。

切符

切符は、PATHの全駅にある「Blue SmartLink vending machines」というSmartLinkカードの自動販売機で購入できます。日本語表示も選択可能です。切符の有効期限は購入後2時間以内で、24時間運行のため、日付制限は設けられていません。ニューヨーク地下鉄やバスで使用できるメトロカードも利用可能ですが、片道または往復切符のみの利用に限られます。

関連項目

ニューヨーク市地下鉄
ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社
ニュージャージー・トランジット
ホーボーケン駅

外部リンク

* PATH公式ホームページ (英語)

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