パタンナー

パタンナー：ファッションを形作る影の立役者

アパレル業界において、デザイナーの創造性を形にする重要な役割を担うのがパタンナーです。デザイナーが描いたデザイン画を基に、衣服の型紙を作成する専門家であり、その技術はブランドの成功を左右すると言っても過言ではありません。英語ではpattern maker、フランス語ではmodelist、イタリア語ではmodellistaと呼ばれます。

パタンナーの役割と地位

まず、商品企画（MD）が作成した販売計画に基づき、デザイナー、パタンナー、生産スタッフが集まり、素材、色、シルエットなどを決定するマスタープランが策定されます。デザイナーがデザイン画を完成させると、パタンナーはその実現可能性を検討し、デザイナーと緊密に連携して型紙作成に取り組みます。

企業によっては、チーフパタンナー、チーフデザイナーといった役職が設けられており、パタンナーの技術は、デザイナーの技術と同様にブランドの盛衰を左右する重要な要素です。そのため、優秀なパタンナーはブランド間で争奪戦が繰り広げられるほど、その存在は欠かせません。

フランス、アメリカ、イギリスでは、パタンナーとファッションデザイナーは対等な立場で尊重されています。しかし、日本やイタリアでは、残念ながら「デザイナーのアシスタント」という誤解を受けることが少なくありません。ヨーロッパでは、デザイナーはフランス語でcouturier（クチュリエ）、イタリア語でstilista（スティリスタ）と呼ばれ、パタンナーとは明確に区別されています。

パタンナーの高度な技術

パタンナーの仕事は、単なる型紙作成にとどまりません。デザイン画に表現されたシルエットやディテールを、正確に、そして美しく型紙に落とし込むためには、高度な技術と深い知識が必要です。

具体的には、人体構造や生地の特性、縫製方法などを熟知し、デザインの意図を理解した上で、型紙を作成する必要があります。さらに、効率的な生産工程を考慮した型紙作成も求められます。そのため、パターンメーキング技術検定（PM検定）のような資格取得も、技術力の証明として重要視されています。

日本におけるパタンナーの現状と課題

日本においてパタンナーがデザイナーのアシスタント的な位置づけになりがちな背景には、歴史的な経緯や業界全体の意識などが複雑に絡み合っています。しかし、近年では、パタンナーの専門性が見直され、その重要性が認識されつつあります。

今後の課題としては、パタンナーの地位向上、育成システムの充実、そして、国際的な基準に則った評価システムの確立などが挙げられます。これらの課題を克服することで、日本のアパレル業界におけるパタンナーの役割は、より一層重要性を増し、ファッション業界全体の活性化に貢献することが期待されます。

まとめ

パタンナーは、デザイナーの創造性を現実のものにする、なくてはならない存在です。その高度な技術と専門性は、ブランドの成功に大きく貢献します。日本においても、パタンナーの地位向上と育成システムの充実が、今後のアパレル業界の発展に不可欠です。

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