パックマンシリーズ

ナムコ（現在のバンダイナムコエンターテインメント）によって生み出されたコンピュータゲームの著名なシリーズです。1980年に登場したアーケードゲーム『パックマン』を起点とし、以来40年以上にわたり世界中で愛され続けています。このシリーズは、単なる迷路ゲームの枠を超え、多岐にわたるジャンルとプラットフォームで展開されてきました。

シリーズの起源である初代『パックマン』は、プレイヤーが主人公のパックマンを操作し、迷路内のドットを全て食べ尽くすというシンプルなルールながら、独特のキャラクターデザインと戦略的なゲーム性で人気を博しました。特に、4匹の個性的なゴースト（アカベエ、アオスケ、ピンキー、クライド）から逃れつつ、パワードットを食べて反撃に転じるというゲームサイクルは、後続のドットイートゲームに大きな影響を与えました。

アメリカ市場における独自の発展

パックマンシリーズは、日本だけでなく海外、特にアメリカ市場で大きな成功を収めました。アメリカではミッドウェイゲームズが初代『パックマン』のライセンスを管理しており、この関係から日本国内とは異なる展開や、オリジナルの派生作品が誕生しました。その代表例が、1981年にアメリカで登場した『ミズ・パックマン』です。これは元々、ゼネラルコンピュータという開発会社が『パックマン』の非公式なクローンとして開発した作品でしたが、ミッドウェイの正式な許可を得て正規のシリーズ作品としてリリースされ、オリジナルに勝るとも劣らない人気を獲得しました。他にも、ビデオゲーム部分とピンボール部分を組み合わせたハイブリッド機として設計された『Baby Pac-Man』（1982年、アメリカ）や、クイズゲームという全く異なるジャンルに挑戦した『Professor Pac-Man』（1983年、アメリカ）など、アメリカ市場独自の作品がシリーズの多様性を広げています。

多様なゲームジャンルとプラットフォーム

シリーズの主要作品は、迷路を探索してアイテムを収集するドットイートゲームの形式を踏襲していますが、これに留まらないジャンルの作品も多数存在します。例えば、1983年に稼働を開始した『パックランド』は、パックマンを操作してファンタジー世界を冒険する横スクロールアクションゲームであり、後のキャラクターアクションゲームに影響を与えたとも言われます。1987年の『パックマニア』では、斜め見下ろし視点となり、ジャンプアクションが加わるなど、ドットイートの形式に新たな要素を取り入れています。また、先述の『Professor Pac-Man』のようなクイズゲームや、『Baby Pac-Man』のような複合ジャンルの作品も存在し、パックマンというキャラクターが様々なゲームフォーマットに適応できる柔軟性を持っていることを示しています。

プラットフォームに関しても、シリーズはアーケードゲームとして始まった後、当時の主要な家庭用ゲーム機、携帯電話、PCなど、様々なハードウェアに移植されてきました。古い作品の忠実な移植から、最新ハードウェア向けの新作、過去作を複数収録したコンピレーション作品まで、その展開は多岐にわたります。中には、残念ながら開発中止となった幻の企画（ワンダースワンカラー版『GPS超!!パックマン』、PlayStation版『Pac-Man Ghost Zone』、ニンテンドーDS版『Super Pac-Man Pinball』、Xbox 360/PlayStation 3版『Pac-Man World 4』など）も存在します。

主なアーケード作品

シリーズは長年にわたり、多くのアーケードゲームを生み出してきました。代表的な作品をいくつか挙げます。

- ミズ・パックマン (1981年アメリカ): 『パックマン』の続編的立ち位置として高い人気を誇ります。
- スーパーパックマン (1982年): ドットだけでなくフルーツや鍵を集めるなど、独自のルールが導入されました。
- Baby Pac-Man (1982年アメリカ): ビデオゲーム画面と物理的なピンボール台が一体となった異色の作品です。
- Jr. Pac-Man (1983年アメリカ): パックマンとミズ・パックマンの子供が主人公。広大な迷路は横方向にスクロールし、移動するフルーツターゲットやラージドットなど、シリーズの中でも特にユニークな要素が多い作品です。コーヒーブレイクではキャラクターたちの日常が描かれます。
- パックランド (1983年): ドットイートではなく、パックマンが走ったりジャンプしたりする横スクロールアクションゲームの先駆けとなりました。
- パックマニア (1987年): 迷路が立体的になり、ジャンプでゴーストを飛び越えるアクションが加わりました。
- Pac-Man's Arcade Party (2010年): パックマン30周年を記念した、複数のナムコクラシックゲームを収録したアーケード筐体です。家庭用版も存在します。
- パックマンバトルロイヤル (2011年): 複数プレイヤーで対戦するユニークなパーティーゲームとして登場しました。
- Pac-Man's Pixel Bash (2018年): 多数のナムコタイトルを収録したコンピレーション筐体で、当初はアメリカ限定でしたが、後に日本を含む海外市場にも展開されました。

ワールドワイドな展開と多様なゲーム体験を提供するパックマンシリーズは、ビデオゲームの歴史において重要な位置を占める息の長い人気シリーズとして、今後も様々な形でファンを楽しませてくれることでしょう。

もう一度検索