パッテンライ!! 〜南の島の水ものがたり〜

『パッテンライ!! 〜南の島の水ものがたり〜』は、2008年に公開されたアニメーション映画であり、日本統治時代の台湾を舞台に、土木技師・八田與一の業績と地元住民との交流を描いた作品です。

概要

この映画は、八田與一が台湾の発展に尽力した姿を、台湾の人々との絆を通して描いています。與一の故郷である石川県金沢市に本社を置く北國新聞社が創刊115周年を記念して出資し、虫プロダクションが制作を担当しました。

映画のタイトルである「パッテンライ」とは、台湾語で「八田がやって来た」という意味です。この言葉が示すように、映画は八田與一が台湾にもたらした影響と、彼を慕う人々の想いを描いています。

ストーリー

物語は、日本統治時代初期の台湾、嘉南平原から始まります。当時、雨量が少なく不毛の地であった嘉南平原に、八田與一は広大な灌漑施設を建設する計画を立てます。しかし、地元農民たちは與一の計画を疑い、当初は反発します。農民の息子である英哲もその一人でした。しかし、與一の土木にかける情熱に触れるうちに、英哲はダムの必要性を理解し、自らも土木技師を目指すようになります。

工事現場の近くに住む日本人少年・ススムは、飛行機乗りになることを夢見ていました。英哲とススムは互いの夢を語り合い、友情を育みます。しかし、トンネル工事中の事故でススムの父親が亡くなり、工事中止の声が上がる中、與一は苦悩します。

登場人物

八田與一: 台湾総督府の土木技師。「土木は人々のためにある」という信念を持ち、嘉南平原を豊かな土地にするためにダム建設を主導します。
徐英哲: 嘉南平原に住む農民の少年。八田との出会いをきっかけに土木技師を志し、ダム建設に参加します。
辻ススム: 英哲の親友。飛行機乗りになることを夢見ていますが、父親の死後、夢を叶えるために飛行機学校へ進学します。
新垣美代: 英哲とススムの幼馴染。二人の夢を応援します。
辻謙吉: ススムの父。八田のダム建設計画に共感し、八田の補佐役となります。
八田外代樹: 與一の妻。ダム建設に打ち込む夫を支え続けます。

台湾での公開

2009年11月には、台湾でも一般公開され、多くの人々に感動を与えました。台湾公開時には、馬英九総統や李登輝元総統も試写会に訪れ、映画を鑑賞しました。

映画が伝えるもの

『パッテンライ!! 〜南の島の水ものがたり〜』は、八田與一の偉業を称えるだけでなく、人々の繋がりや夢、困難に立ち向かう勇気を描いた作品です。台湾の人々にとって、八田與一は今もなお敬愛される存在であり、この映画は彼の功績を次世代に伝える役割も担っています。

この映画を通して、私たちは国境を越えた人々の絆、そして夢を諦めずに努力することの大切さを学ぶことができます。

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