パット・ロバートソン

パット・ロバートソンの生涯と業績

生い立ちと教育

パット・ロバートソン（本名：Marion Gordon Robertson）は、1930年3月22日にアメリカ、バージニア州レキシントンで生まれました。彼は保守的民主党の上院議員アブシャロム・ロバートソンと母グラディス・チャーチルの間に生まれた子供で、ウィンストン・チャーチルとは遠い親戚関係にあります。士官学校予科とワシントン・アンド・リー大学を卒業後、アメリカ海兵隊で朝鮮戦争に従軍しました。帰国後、イェール・ロー・スクールで学びましたが、司法試験に失敗したことがきっかけでキリスト教への興味を深めていきます。特に、大リバイバリストであるチャールズ・フィニーやビリー・グラハムからの影響を受けながら信仰の道を歩むようになります。

牧師としてのキャリアの始まり

1959年、ロバートソンはニューヨーク神学校を経て南部バプテスト派の牧師としてライフスタイルを始めることになります。同年、彼はテレビ局を買収し、1960年にはキリスト教徒放送ネットワーク（CBN）を設立しました。このネットワークは、アメリカ国内外で幅広い影響力を持つようになりました。1979年には国際放送がスタートし、バージニア・ビーチにはCBN大学も設立されました。その後、日本のキリスト教伝道テレビ番組「ハーベストタイム」においても、CBNの放送が行われることに至ります。

政治活動と宗教的影響力

ロバートソンは、1989年にキリスト教徒連合（クリスチャン・コアリション）を結成し、2000年までその会長を務めました。この団体は、160万人以上の会員を持ち、宗教的な影響力を政治に持ち込むことに積極的でした。特に、彼は「米国家族との契約」として中絶の取り締まりや家庭に対する税の軽減を促進し、影響力ある政治運動を展開しました。

1988年のアメリカ合衆国大統領選挙では、共和党の候補者指名を巡りジョージ・H・W・ブッシュと競い合いましたが、彼に敗北します。その後、彼はアメリカ同時多発テロ事件に対しても発言し、信仰をおろそかにするアメリカ人を非難しました。2002年にはイスラエル支援の大会を開催し、聖書に基づいた中東政策を主張しました。

論争と視点の変化

ロバートソンはその発言や行動において度々物議を醸すことがありました。2005年にはベネズエラのチャベス大統領を暗殺すべきとの発言で批判を受け、誤解を招いたこともありました。また、2007年には共和党の穏健派であるルドルフ・ジュリアーニの支持を表明し、保守派の間で驚きを呼びました。

一方、2010年にはハイチ大地震に対して、「フランスの支配から逃れるために国民が悪魔と契約した」と発言し、社会的批判を受けます。

晩年と死去

パット・ロバートソンは2023年6月8日にバージニア州の自宅で93歳で亡くなりました。彼の生涯を通じて、その影響力は特にアメリカにおける保守的キリスト教徒の意見形成に大きな役割を果たしました。彼の業績は、宗教と政治が交差する複雑な状況を象徴しており、今後もその影響は語り継がれることでしょう。

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