バティン

バティン（Bathin）は、悪魔学において重要な位置を占める悪魔の一体であり、バティム（Bathym）あるいはマルティム（Marthim）とも呼ばれています。

概要

『ゴエティア』によれば、バティンは地獄の序列において18番目に位置する大公爵であり、30の悪魔の軍団を指揮するとされています。また、『大奥義書』においては、フルーレティの支配下にあるとされています。

レジナルド・スコットの著書『妖術の開示』（1655年版）には、パイモン、バティン、バルマを召喚し、その恩恵を受ける方法が記されています。この記述によれば、バティンは炎の源泉の深部に属し、ルシファーの使い魔の中でも特に敏捷で愛想が良いとされています。

外見と能力

バティンは、召喚されると青ざめたウマに乗り、ヘビの尾を持つ屈強な男の姿で現れるとされています。彼は薬草や宝石に関する深い知識を持ち、人を国から国へと瞬時に移動させる力を持つと伝えられています。この能力は、召喚者にとって非常に魅力的な恩恵となり得ます。

伝承と解釈

バティンの伝承は、中世から近世にかけての悪魔学の発展とともに形成されてきました。彼の持つ知識や移動能力は、当時の人々にとって神秘的で魅力的なものであり、悪魔学におけるバティンの地位を確立する要因となりました。

バティンは、単なる悪魔としてだけでなく、知識や移動といった象徴的な意味を持つ存在としても解釈できます。彼の物語は、人間の知識欲や願望を反映したものであり、悪魔学研究において重要な意味を持っています。

参考文献

コラン・ド・プランシー著、床鍋剛彦訳『地獄の辞典』講談社、1990年
S.L. MacGregor Mathers and Aleister Crowley, The Lesser Key of Solomon（1904）
Arthur Edward Waite, The Book of Ceremonial Magic（1913）
Reginald Scot, Discoverie of Witchcraft（1655年版）
Johann Weyer, Pseudomonarchia Daemonum
Goetia

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