パトリシア・シュローダー

パトリシア・シュローダー

パトリシア・シュローダー（1940年7月30日 - 2023年3月13日）は、アメリカ合衆国の女性政治家であり、12期にわたってコロラド州からアメリカ合衆国下院議員として在職しました。彼女は民主党の一員として、女性の権利、家族政策、軍縮など幅広い分野で大きな影響を及ぼしました。

生い立ちと教育

オレゴン州ポートランドに生まれたシュローダーは、父が航空保険業を営み、母が教員という環境で成長しました。高校卒業後、ミネソタ大学で歴史・哲学・政治学を学び、さらにハーバード・ロー・スクールで法務博士号を取得しました。学生時代には15歳で航空操縦免許を取得し、自ら航空サービスを行いながら学費を稼ぐ姿勢が印象的です。

初期の職歴

シュローダーは1964年から1966年まで全米労働関係委員会で弁護士として活動した後、プランド・ペアレントフッドの法務顧問やデンバー公立学校の教員を経験しました。これが彼女の後の政治活動における土台となりました。

政治活動と主張

1972年、彼女はコロラド州第1選挙区から民主党の候補として立候補し、1973年に初当選を果たしました。シュローダーはその後、1997年まで24年間、議会で活動しました。その間、彼女は女性議員として初めて下院軍事委員会に所属し、軍備削減や女性兵士の地位向上、社会保障政策の充実を訴えました。

特に、シュローダーは妊娠差別禁止法や家族・医療休暇法などの立法に関与し、職場での平等や育児・介護のための休暇制度の整備を推進しました。彼女は「家庭が弱ければ、強い防衛はありえない」と述べ、軍人の家族に対する理解を深めるよう積極的に働きかけました。

また、医学研究における女性やマイノリティの参加を義務付ける制度改革にも力を入れ、特に臨床試験における偏りを是正するための重要な提言を行いました。彼女の努力は1993年の「国立衛生研究所再活性化法」に反映され、女性とマイノリティの参加が制度化されています。

評価と反響

シュローダーの様々な政策は、当時の議会において「過激」あるいは「挑戦的」と批判されることもありましたが、彼女はそれを気にせず自らの信念を貫きました。議会内でのある発言で、「私は脳を持っているし、子宮も持っている。両方とも働いている」と述べ、母親であることが政治的に不利に扱われる現状への挑戦として広く知られました。

彼女が1987年に大統領選挙への出馬を考えた際も、女性としての立場から多くの壁に直面しました。その後、出馬を断念した際には「人間らしく生きることができなくなる」ことを懸念し、撤退を表明しました。

退任と晩年

1997年に議会から退任した後、シュローダーは全米出版協会の社長兼CEOとして、出版業界の権利保護や教育支援に取り組みました。公共政策や女性の政治参加に関する講演を行い、社会への啓発活動を続けました。

シュローダーは2023年3月13日に脳卒中の合併症により82歳で亡くなりました。彼女の功績は、女性の進出を促進し、社会保障の改善に寄与した点で評価されています。シュローダーの存在は、アメリカにおける女性政治家の道を切り開いた先駆者として、今後も語り継がれることでしょう。

もう一度検索