パトリシア・ナッチブル

パトリシア・ナッチブル：激動の生涯を送った伯爵夫人

パトリシア・エドウィナ・ヴィクトリア・ナッチブル（1924年 - 2017年）は、イギリス貴族であり、第2代マウントバッテン・オブ・ビルマ伯爵でした。彼女の人生は、英国王室との深いつながり、公務への献身、そして家族を襲った悲劇によって特徴づけられます。

生い立ちと結婚

初代マウントバッテン・オブ・ビルマ伯爵ルイス・マウントバッテンの長女として生まれたパトリシアは、幼少期をマルタ島、イングランド、ニューヨークで過ごしました。第二次世界大戦中にはイギリス海軍女性部隊に入隊し、共同作戦本部や東南アジアの連合国軍最高司令部で勤務しました。1946年、彼女は後に第7代ブラボーン男爵となるジョン・ブラボーンと結婚しました。

マウントバッテン伯爵位の継承

1979年、パトリシアは父の暗殺を受けてマウントバッテン・オブ・ビルマ伯爵位を継承しました。この爵位は、女性相続人にも継承権が認められた稀な例でした。彼女は貴族院議員となり、1999年の貴族院法によって世襲貴族の議席が制限されるまでその職を務めました。

IRAによるテロ事件

1979年8月、アイルランド北西部でIRAが仕掛けた爆弾テロにより、パトリシアは大きな悲劇に見舞われました。この事件で、彼女の息子ニコラス、父マウントバッテン卿、姑のブラボーン男爵未亡人が命を落としました。パトリシア自身も重傷を負いましたが、一命を取り留めました。

公務への貢献

パトリシアは、ケント州の副知事や治安判事を務めたほか、SOS子どもの村イギリス支部や準軍事組織フロンティアーズメン部隊など、様々な団体の活動に貢献しました。また、パトリシア王女カナダ軽騎兵連隊のカーネル・イン・チーフ（名誉連隊長）も務め、同連隊との深いつながりを築きました。

エリザベス女王との関係

パトリシアは、エリザベス2世女王の三又従妹であり、女王の女官を務めました。女王の夫であるエディンバラ公フィリップ王子とは従兄妹同士であり、王室との親密な関係を生涯にわたって維持しました。

死去

パトリシア・ナッチブルは2017年6月13日に93歳で亡くなりました。彼女の生涯は、公務への献身、家族の悲劇、そして英国王室との深いつながりによって特徴づけられました。彼女は、その高潔さと人道的な活動を通じて、多くの人々に感銘を与えました。

子女

パトリシアはブラボーン卿との間に8人の子供をもうけました。

第3代マウントバッテン・オブ・ビルマ伯爵ノートン・ルイス・フィリップ・ナッチブル
マイケル＝ジョン・ウルリック・ナッチブル
アンソニー・ナッチブル（夭折）
ジョアンナ・エドウィナ・ドリーン・ナッチブル
アマンダ・パトリシア・ヴィクトリア・ナッチブル
フィリップ・ウィンダム・アシュリー・ナッチブル
ティモシー・ニコラス・ジーン・ナッチブル
ニコラス・ティモシー・チャールズ・ナッチブル（IRAの爆弾テロの犠牲者）

パトリシア・ナッチブルの生涯は、英国の歴史における重要な一章であり、彼女の功績は今後も語り継がれることでしょう。

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