パナマの国章

パナマの国章

パナマの国章は、1904年6月4日に制定された国の徽章であり、パナマの歴史と文化、そして未来への希望を象徴する重要なシンボルです。盾を中心に構成され、その周囲を様々な要素が彩る、複雑かつ美しいデザインが特徴です。

構成要素

国章は、主に以下の要素で構成されています。

中央の盾：盾はクオータリー（四分割）の上にフェス（中央の横帯）を重ねた構造を持ちます。各区画には、パナマの歴史、経済、そして国民性を象徴する様々なモチーフが描かれています。
上部左：白地に武器が描かれており、これは戦争から平和と繁栄への道のりを記念しています。
上部右：赤地にスコップとハンマーが描かれ、パナマの鉱山業を象徴しています。
下部左：青地に豊穣の角が描かれており、これは南米の国章によく見られる、豊かな実りを象徴するモチーフです。
下部右：白地に翼を付けた車輪が描かれており、進歩を象徴しています。
フェスの中：緑豊かな風景と昇る太陽が描かれたパナマ運河の風景が描かれ、パナマの地理的な重要性と繁栄を象徴しています。
周囲の国旗：盾の周囲には4本の国旗が配置されています。これは西洋紋章学から見れば異例ですが、中南米の国章では好んで用いられる装飾です。
上部の星：盾の上部には10個の五角星が輝いています。これらの星は、パナマの10の県を象徴しています。
鷲とモットー：盾の上には、翼を広げた鷲（パナマの国鳥であるオウギワシ）が描かれています。鷲は、スペイン語で「Pro Mundi Beneficio（世界の福利のために）」と書かれたモットー（標語を書いたリボン）を咥えています。

象徴性

パナマの国章は、単なる装飾的なデザインではなく、パナマの歴史、文化、そして国民性を深く反映したシンボルです。各要素が持つ意味を理解することで、パナマという国に対する理解を深めることができます。

平和と繁栄への願い
鉱山業と豊かな自然
進歩への意志
パナマ運河の重要性
世界の福利への貢献

これらの要素が組み合わさることで、パナマの国章は、パナマ国民のアイデンティティを形成し、国家としての誇りを育む上で重要な役割を果たしています。

参考文献

苅安望 『世界の国旗と国章大図鑑 三訂版』 平凡社 ISBN 978-4-582-40735-8
印南博之『西洋紋章パヴィリオン その形や色に隠されたドラマ』 東京美術 ISBN 4-8087-0571-0

関連項目

国章の一覧
パナマの国旗

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