パブリックコメント

パブリックコメントとは

パブリックコメント（通称：パブコメ）とは、行政機関が規則や命令などを制定する際に、広く一般から意見、情報、改善案などを募集する手続きのことです。これにより、行政機関は、その決定が影響を与える可能性のある人々の意見を事前に聴取し、より良い行政運営を目指します。

英語では「public comment」の他に「public consultation」という表現も使われます。

米国における手続き

アメリカでは、連邦行政手続法（APA）に基づき、パブリックコメント制度が運用されています。これは、行政機関が規則を制定する際の「告知コメント」方式による略式規則制定手続きで採用されています。

連邦行政手続法の手続き

行政機関が規則を制定する際、原則として規則案を連邦公示録に掲載して告知する必要があります。この告知には、法律上の権限、主題、争点などを明示しなければなりません。その後、利害関係者は、データ、見解、主張を書面で提出することで規則制定に参加する機会が与えられます。規則は原則として発効日の30日前までに公布されます。

ただし、制定法によって正式規則制定手続きが定められている場合は、告知コメントの手続きは行われず、裁判所の事実審理手続きに類似した聴聞が実施されます。

連邦行政手続法による適用除外

連邦行政手続法には、パブリックコメントの手続きが適用されない場合があります。例えば、軍事外交に関する規則、行政機関の内部管理に関する規則、解釈的な規則、緊急時における規則制定などが除外されます。

日本における手続き

日本では、行政手続法の導入により、パブリックコメント制度が一般的に制度化されました。日本の制度は、アメリカの制度をモデルに導入されたものです。

行政手続法における「意見公募手続」

行政手続法では、「意見公募手続」という言葉が使われており、各省庁のホームページでは、「意見公募手続」と「パブリックコメント」という言葉がほぼ同じ意味で用いられています。また、地方自治体では「意見提出制度」という言葉も広く使われています。

パブリックコメントは、単なる意見の提出だけでなく、行政決定の違憲性や違法性を指摘する重要な機会です。提出された意見は、量より質が重視され、建設的な意見は政策に大きな影響を与える可能性があります。

行政手続法の規定

行政手続法では、命令などを定める前に、その案を公示し、意見提出先や期間を定めて広く一般から意見を募集することが義務付けられています。命令等とは、法律に基づく告示や審査基準、処分基準、行政指導指針などを指します。

この義務は法的拘束力があり、法律で定められた適用除外に該当する場合を除き、必ず実施しなければなりません。

行政手続法の適用除外

行政手続法には、意見公募手続が適用されない場合があります。例えば、法律の施行期日を定める政令、恩赦に関する命令、緊急性の高い命令、予算に関する命令などが除外されます。

また、委員会等の議を経て定める命令等で、利害関係者の調整を目的としたものや、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めたものと実質的に同一の命令等、法令の適用に必要な技術的な読替えを定める命令等、軽微な変更にとどまるものなども、意見公募手続が除外されます。

命令等制定と結果の公示

意見公募手続を経て命令等が制定された場合、その公布と同時に、命令等の題名、案の公示日、提出された意見、その意見を考慮した結果とその理由を公示する必要があります。また、意見公募手続を行ったにもかかわらず命令等を定めない場合は、その旨を速やかに公示する必要があります。

公示は、総務大臣が定めた方法（電子情報処理組織を使用する方法など）により行われます。

地方自治体におけるパブリックコメント

行政手続法の規定は、地方公共団体には直接適用されませんが、多くの自治体では条例や要綱で同種の制度を設けています。ただし、地方公共団体の機関が行う処分でも、根拠規定が法律に置かれている場合は、行政手続法が適用されます。

パブリックコメントによる政府案修正事例

過去には、パブリックコメントを通じて政府案が大幅に修正された事例もあります。例えば、2014年4月には、改正生活保護法省令案が、1,166件もの意見を受け、大幅に修正されました。

まとめ

パブリックコメント制度は、行政の透明性を高め、国民の意見を政策に反映させるための重要な手段です。この制度を積極的に活用することで、より良い社会づくりに貢献することができます。

脚注

* e-Govパブリックコメント
https://www.e-gov.go.jp/policy/public_comment/index.html

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