パブリッシャーズ・ウィークリー

パブリッシャーズ・ウィークリー（Publishers Weekly）とは

パブリッシャーズ・ウィークリー（略称PW）は、アメリカで最も歴史のある書籍業界誌の一つです。1872年の創刊以来、「本の出版と書店の国際ニュースマガジン」として、出版社、書店員、図書館員、著作権関係者など、書籍業界のプロフェッショナルに向けて情報を発信し続けています。年に51号発行され、現在は特に書評に重点を置いています。

歴史

1860年代後半に書誌学者のフレデリック・レオポルトによって創刊され、何度かの誌名変更を経て現在の『パブリシャーズ・ウィークリー』となりました。レオポルト自身が収集した新刊書の書誌情報は、当時の書籍販売業者の9割が購読するほどの影響力を持っていました。その後、リチャード・ボウカーに引き継がれ、商品カタログ的な構成から、特集記事や読み物を掲載するスタイルへと刷新されました。

1912年からは、アメリカのベストセラー小説リストを独自に作成し始めました。これは、『ブックマン』誌の初代編集長ハリー・ペックが始めたベストセラーリストに続くもので、当初はフィクションとノンフィクションを区別していませんでしたが、第一次世界大戦の影響でノンフィクションへの関心が高まると、2つのジャンルに分けて掲載するようになりました。

主要人物

フレデリック・メルチャーは、40年以上にわたり編集主幹を務め、本誌の発展に大きく貢献しました。彼は児童書にも力を入れ、児童書週間を立ち上げるなど、その普及に尽力しました。

特徴

キャリートマス賞

1943年に創設された「キャリートマス賞」は、創造的な出版企画を顕彰するもので、「出版人対象のアカデミー賞」と評されました。

幅広い読者層

出版関係者だけでなく、図書館員、書店員、作家、教育機関関係者など、幅広い層に読まれています。書籍だけでなく、視聴覚素材や電子出版など、多様な媒体を対象としているのも特徴です。

充実した書評

年間9千冊もの新刊書評を掲載しており、その書評は書籍の発売前に読めるため、業界関係者にとって非常に重要な情報源となっています。過去の書評は電子データとして20万件以上がアーカイブされています。

書評の変化

かつては匿名で短い書評が中心でしたが、近年では執筆者名を明示するようになり、書評の信頼性が高まっています。また、自費出版物を対象とした書評欄を設けるなど、新たな取り組みも行っています。

業界への影響

書評担当者の名前を書籍の宣伝文に入れることがアメリカ出版界に広まるなど、その影響力は書籍小売業や一般読者にも及んでいます。また、書評に星を付けるシステムや、特筆すべき本を紹介する〔一推し書評〕など、独自の試みも行っています。

近年の動向

近年では、広告収入の減少や業界の変化に対応するため、ウェブサイトの活用や市場分析への注力など、様々な改革が行われています。また、ポッドキャストの配信を開始するなど、新たな情報発信にも取り組んでいます。

パブリッシャーズ・ウィークリーは、140年以上にわたり、アメリカの書籍業界を支え続けてきた重要な情報誌です。その書評は、書籍の売れ行きを左右するだけでなく、出版業界全体の動向に影響を与える存在として、今後も注目されていくでしょう。

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