パリ、憎しみという名の罠

映画『パリ、憎しみという名の罠』

『パリ、憎しみという名の罠』（原題：Carbone）は、2017年に制作されたフランスとベルギーの犯罪映画で、監督はオリヴィエ・マルシャルが務めています。主演にはブノワ・マジメルやジェラール・ドパルデューが名を連ねており、温室効果ガスの排出量取引を通じて引き起こされた人間関係の葛藤と犯罪を描いた作品です。映画は2017年10月に釜山国際映画祭で初上映され、日本では劇場公開されることはなく、2018年11月22日にWOWOWで放送されました。

ストーリー概要

物語はアントワヌが何者かに射殺される場面からスタートします。アントワヌは妻ダナの父であるアロンが創業した会社の経営者でしたが、経営状態は悪化し、遂には会社を手放さざるを得なくなります。アロンからの厳しい非難を受けた末には、悲運にもダナとの関係も終わってしまいます。

ある日、アントワヌは企業が規制された温室効果ガスの排出量を基に、余分な排出量を売却できることを知ります。この知識を元に、アントワヌは不正に得るべき売上税をかすめ取る闇ビジネスを始めることを決意します。彼は友人のエリックやシモン兄弟、さらには彼らの母ドリー、会計士のロランを仲間に加え、ビジネスを拡大していく一方で、アロンの策略によって資金調達は難航します。

こうした事情から、アントワヌはギャングのキャメルから多額の資金を借りることに。ビジネスは順調に進展するものの、キャメルからは利益の半分を要求され、アントワヌは刑事モゼールへの賄賂を渡してキャメルを逮捕させようと試みます。しかし、不運なことに、ギャングの襲撃によりエリックが重傷を負い、怒りに任せてキャメルの部下ベナルファを射殺。一方で、アントワヌはキャメルに命令され、エリックではなくシモンを呼び出すことを強いられますが、シモンはキャメルに射殺されてしまいます。

アントワヌは、キャメルが残した拳銃を拾い、その武器でアロンを射殺し、さらにはアロンが探偵に依頼していたアントワヌの不正に関する証拠を処分します。その結果、同じ拳銃が使用されたことで、キャメルはシモンとアロンの殺害容疑で逮捕されますが、アントワヌ自身も不正行為で逮捕され、司法取引により釈放される事態に陥ります。

最終的に、釈放されたアントワヌは何発もの銃弾を受けて命を落とします。この悲劇を引き起こしたのは、息子を失ったドリーの復讐心でした。物語の背景には、2008年から2009年に起きた排出量取引における売上税の脱税事件があり、EU全体で50億ユーロ、フランスだけでも15億から18億ユーロの損害があったことが示されています。

キャスト

本作には個性的なキャストが揃っており、アントワヌ・ロカを演じるのはブノワ・マジメル。また、アロン・ゴールドシュタイン役にはジェラール・ドパルデュー、アントワヌの恋人ノア役にはローラ・スメットがいます。エリック役のイディル・シャンデやシモン役のグランジも、作品に深みを与えています。

作品の評価

映画『パリ、憎しみという名の罠』は、アロシネによればフランスの20のメディアによる平均評価が5点満点中3.1点とされています。作品は、社会の闇や人間関係の複雑さを描いた点で視聴者の心をつかむ要素が多く、観る者に様々な感情を呼び起こします。

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