パリよ、永遠に

映画『パリよ、永遠に』解説

『パリよ、永遠に』（原題：Diplomatie）は、フォルカー・シュレンドルフ監督がシリル・ゲリーの戯曲を映画化した、2014年公開の独仏共同制作による歴史ドラマです。第二次世界大戦末期、連合軍の進攻が迫るパリを舞台に、都市の破壊を命じられたドイツ軍将軍と、それを阻止しようとするスウェーデン人外交官の息詰まる駆け引きを描いています。

あらすじ

1944年、連合軍がパリに迫る中、アドルフ・ヒトラーはディートリヒ・フォン・コルティッツ将軍にパリの破壊を命じます。エッフェル塔、ルーブル美術館、ノートルダム大聖堂など、パリの象徴的な建造物を爆破し、セーヌ川を氾濫させ、街を瓦礫に変えるというものでした。コルティッツ将軍は、ヘガー少尉を責任者に任命し、捕虜の技術者ランバンの助言を得て、破壊工作の準備を進めます。

しかし、スウェーデンの外交官ラウル・ノルドリングは、秘密の通路を使い、コルティッツ将軍が滞在するホテル・ムーリスに忍び込みます。ノルドリングは、パリの破壊によって多くの罪のない市民が犠牲になることを訴え、将軍に命令の撤回を迫ります。最初は拒否するコルティッツ将軍でしたが、ノルドリングの説得と、パリ市民やレジスタンスの蜂起、そして自身の家族がナチスによって処罰される可能性など、様々な要因が彼の心を揺さぶります。

最終的に、コルティッツ将軍は破壊命令の実行を中止することを決意します。命令の実行を主張するヘガー少尉はランバンによって阻止され、パリは破壊の危機を免れます。ナチス崩壊後、コルティッツは過去の戦功により2年間投獄されますが、ノルドリングはパリを救った功績により勲章を授与されます。しかし、ノルドリングは真の英雄はコルティッツだと考え、彼に勲章を贈ります。

キャスト

ラウル・ノルドリング：アンドレ・デュソリエ
フォン・コルティッツ将軍：ニエル・アレストリュプ
* ヴェルナー・エベルナッハ大尉：ブルクハルト・クラウスナー

作品の評価

『パリよ、永遠に』は、批評家から高い評価を受けています。特に、アンドレ・デュソリエとニエル・アレストリュプの演技は絶賛され、緊迫感あふれる対話劇を支えています。

レビュー集計サイトRotten Tomatoesでは、93%の批評家が本作に好意的な評価を与え、平均評価は7.4/10となっています。サイトの総評では、「筋書きよりもキャラクター開発と巧妙な対話を重視する映画ファンにとって、『Diplomacy』は豊かで力強い演技の報酬をもたらす」と評されています。

作品の魅力

本作は、歴史的な出来事を背景に、二人の男の信念と葛藤を描いた作品です。パリの破壊を巡る緊迫した状況下で、それぞれの正義と倫理観がぶつかり合い、観る者に深い問いを投げかけます。また、パリの美しい街並みが映像に収められており、歴史的な景観を堪能できる点も魅力の一つです。

フォルカー・シュレンドルフ監督は、本作を「愛するパリへのバレンタイン」と表現しており、その言葉通り、パリへの愛情が込められた作品となっています。歴史ドラマファンはもちろん、人間ドラマや心理劇が好きな方にもおすすめの作品です。

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