パリ万国博覧会 (1889年)

1889年パリ万国博覧会

1889年のパリ万国博覧会（Exposition Universelle de Paris 1889）は、同年の5月6日から10月31日まで、フランスの首都パリで開催された国際的な博覧会です。

この博覧会の開催は、フランス革命の象徴的な出来事であるバスティーユ襲撃から100周年を迎えるという重要な年に行われ、数多くの国や企業が参加し、技術や文化の交流が図られました。このイベントでは、エッフェル塔が特に注目され、後にパリのシンボルとして知られることとなります。

会場と交通手段

イベントの会場は約0.96平方キロメートルの広さを持ち、シャン・ド・マルス公園やトロカデロ広場、ケ・ドルセー地区などが利用されました。また、博覧会の周辺では、ドコービルによる600mmゲージの鉄道が運行され、大勢の来場者を輸送しました。この鉄道は、開催期間中に634万人以上の乗客を運んだとされています。

代表的な建築物

パリ万博で最も象徴的な構造物はエッフェル塔です。この鉄塔はエッフェルの設計により1889年に完成し、博覧会中は入場門としての役割も担いました。エッフェル塔に加え、機械館（La Galerie des machines）も注目を集めました。機械館はフランス人建築家のフェルディナン・デュテールとヴィクトル・コタンマンの設計によるもので、1900年の万博でも使用されましたが、最終的には1910年に解体されました。先に予定されていた鋼材の代わりに鉄が使用された理由については、コスト削減と早期完成が関連しているという説があります。

出展と文化的発表

万博の開幕にあたる1889年5月14日には、ジュール・マスネ作曲のオペラ・コミック《エスクラルモンド》が初演され、期間中に50回以上も上演されました。また、作曲家クロード・ドビュッシーが会場のガムラン音楽アンサンブルに触れたことで、彼の音楽スタイルに影響を与えたとされています。

さらに、オランダのビールメーカー・ハイネケンがグランプリを受賞し、日本からも久保田米僊が金賞を手にしました。陸軍から派遣された古矢弘政が、現地の軍楽隊を指揮して演奏したことも注目され、東京日日新聞にその様子が取り上げられました。

収支と来場者

この大規模な博覧会は、4,150万フランの事業支出に対して、約4,950万フランの収入を上げ、来場者数は3,225万人にも達しました。また、出展者数は6万人以上で、参加国は35ヶ国に及びました。

1889年のパリ万国博覧会は、エッフェル塔をはじめとしたさまざまな建築物や芸術的な展示を通じて、フランスの技術力と文化を世界に広める重要な役割を果たしました。

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