パリ条約 (1810年)

パリ条約の概要

パリ条約、すなわち前述の通り、1810年1月6日にフランスとスウェーデンの間で締結された条約を指します。この合意は、フランス第一帝政とスウェーデン王国の間での和平を意味し、歴史の中で特異な役割を果たしました。

ナポレオン戦争の最中、スウェーデンは最初こそ第四次対仏大同盟の一員でしたが、フランス軍に敗北し、戦況は厳しいものでした。他の敗戦国が徐々にナポレオンの「大陸封鎖令」に従う中、スウェーデンはこれを拒否しました。しかし、これが後にロシア・スウェーデン戦争を引き起こすきっかけとなりました。ナポレオンはロシア帝国を巧みに利用し、スウェーデンに対して圧力をかけたのです。

この戦争は1809年まで続き、スウェーデンは連戦連敗を重ねることになりました。この結果、スウェーデンはロシアとフレデリクスハムンの和議、デンマークとはイェンシェーピングの和議を締結し、苦しい状況を打開しようとしましたが、フランスとの関係は依然として複雑でした。

条約の内容と影響

1810年のパリ条約では、名義上は戦争の終結を掲げていますが、実体は「大陸封鎖令」への強制参加と、フランスへの従属を含んでいました。この条約により、スウェーデンはナポレオンの対英政策に同調し、さらには対英宣戦の道を模索しました。これが、スウェーデン王国の政治にどのように影響を与えるかは、その後の展開に深く影響を及ぼしました。

条約の締結から4日後の1月10日、スウェーデンは「大陸封鎖令」に参加しますが、この動きは国内での急速な政局変動を招くこととなります。スウェーデン王カール13世は後継者がいなかったため、王位の継承問題が深刻化し、フランスの同盟国デンマークから王位継承者が提案されます。しかし、新たに指名された王太子カール・アウグストは、わずか数ヶ月後に急死し、事態はさらに混乱を極めました。

その後、スウェーデン議会はフランスの元帥ジャン＝バティスト・ジュール・ベルナドットを王位継承者として迎え入れ、ベルナドッテ家が王家の血統となります。この選択は一見、安定をもたらすように見えましたが、その後の外交政策には大きな変化が伴いました。

スウェーデンの外交政策の変化

「大陸封鎖令」に参加したスウェーデンでしたが、1810年以降、ロシアとフランスの関係が悪化するにつれて、スウェーデンの摂政ベルナドットはナポレオンとの従属から脱却し、反フランス政策に転向します。1812年には、イギリス、ロシア、スウェーデンの三国による秘密協定が結ばれます。これによって、パリ条約の効力は大きく損なわれることとなり、翌1813年にはスウェーデンが第六次対仏大同盟に参加する運びとなりました。

このように、パリ条約はスウェーデンにとって、政治的にも軍事的にも重要な転機となり、その後のナポレオン戦争に影響を与える重要な要素となりました。スウェーデンがどのように外交戦略を展開していったか、またその成功や失敗についても、歴史の法廷で検証されるべき重要なテーマです。

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