パルチザン掃討章

パルチザン掃討章（Bandenkampfabzeichen）

第二次世界大戦中、ナチス・ドイツは新たな戦功記章を制定する必要に迫られ、その結果として1944年に設けられたのが「パルチザン掃討章」です。この勲章は、ゲリラやレジスタンスによる抵抗活動を排除するための戦闘に参加した将兵に授与されました。

誕生の背景

ロシアやバルカン半島において、ゲリラとの衝突が厳しさを増す中、アドルフ・ヒトラーは反抗勢力との戦いに従事する兵士たちへの表彰が不可欠であると判断し、この章の制定を命じました。1944年2月1日に正式に制定されたこの章は、バンデン（ならず者）との戦闘を強調したものとして位置付けられています。「バンデン」という用語は、ナチス・ドイツの指導者であるハインリヒ・ヒムラーによって「国家社会主義に対抗する者たち」を指す言葉として使用されました。

授与基準

パルチザン掃討章は、銅、銀、金の三つの等級があります。これらはそれぞれ、陸軍、海軍、武装SSには以下の通り授与されました:

• - 銅章：20日間の戦闘参加
• - 銀章：50日間の戦闘参加
• - 金章：100日間の戦闘参加

空軍の場合は、参加日数が異なり、次のように設定されました:

• - 銅章：30日間
• - 銀章：75日間
• - 金章：150日間

また、戦闘日数の計算方法は兵種によって異なり、近接戦闘にかかわる日数や特定の任務に基づいて算出されます。特に、敵機を撃墜することが確認されると、その出撃は3日間とみなされます。

デザインの特徴

パルチザン掃討章のデザインは、過去の勲章をモデルにしており、特に1919年に設立された義勇軍の記章に影響を受けています。この章では、オークの葉の輪の中に、剣がギリシア神話の悪魔「ヒュドラ」に突き刺さった姿が描かれています。ヒュドラは、頭を切り落としても再生する伝説があることから、数回にわたって現れるゲリラに例えられています。

授与対象者と規定

1944年10月5日以降、すべての軍事・警察組織の将校や下士官兵に対し掃討章の授与が行われました。さらに、条件を満たした場合、戦死した兵士の遺族には勲記も送られることが定められていました。特にSS長官であるハインリヒ・ヒムラーは、金章を自動的に受け取る資格を有していました。

このように、パルチザン掃討章は、ナチス・ドイツの反ゲリラ戦の象徴ともいえる存在であり、その授与基準やデザインには、歴史的なコンテキストが色濃く反映されています。戦功を称える一方で、その背景には戦争の厳しい現実があることを忘れてはなりません。

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