パルマス島事件

パルマス島事件について

概要

パルマス島事件は、1906年から1928年にかけて、アメリカ合衆国とオランダとの間で発生した領有権を巡る国際的な紛争です。この事件では、フィリピンの南部に位置する孤島、パルマス島の領有権が焦点となりました。最終的には、1928年に国際的な仲裁裁判所によりオランダの領土と認定されました。

事件の発端

事件の始まりは、1906年1月21日にアメリカのウッド将軍がパルマス島を訪れたことにあります。彼はこの島がアメリカの領土だと考えていたものの、島の海岸にオランダの国旗が掲げられているのを見て驚き、アメリカ陸軍長官に報告しました。この時点で、アメリカとオランダの間で正式な領有権の主張が浮上したのです。それ以前は、パルマス島に関してアメリカ、オランダ、スペインの間で意見の対立は見られませんでした。

外交交渉と特別協定

1906年3月31日から始まったアメリカとオランダの間の外交交渉は、1925年に特別協定に合意する結果となります。この特別協定の中で、両国は自国の意見の不一致を国際法と既存の条約に基づいて解決する意思を示しました。特に重要な第1条は、両国が常設仲裁裁判所に議題を提出することを明記しており、第8条では、仲裁裁判官の判断を受け入れる義務があることを定めました。

論点と両国の主張

アメリカの主張

アメリカは、パルマス島が16世紀にスペインによって発見され、1898年のパリ条約に基づいてその権原を引き継いだと主張しました。すなわち、スペインが保持していた権利は、アメリカに転送されたと考えたのです。

さらにアメリカは、地理的にもパルマス島はフィリピンの一部であり、主権がアメリカにあるべきだと主張しました。つまり、隣接性の原則に基づき、パルマス島はフィリピンに属する国である好機があるとしました。

オランダの主張

対してオランダは、同島に対する自国の支配を16世紀から行ってきたと主張しました。オランダは特に、東インド会社が1693年に現地の首長との協約を結んでいたことを挙げ、持続的な領域支配を証明しました。また、オランダは16世紀に確立されたスペインの権原が、時間の経過と共に失効していると主張しました。

仲裁裁判所の判決

仲裁裁判所での判決では、アメリカの主張は1898年のパリ条約による権原の譲渡が関与している一方で、その時点でパルマス島が実際にスペイン領だったか、オランダ領だったかが焦点となりました。仲裁裁判官としてスイスのマックス・フーバーが選任され、彼は国際法の原則に従い、両国の主張を検討し、領域主権の継続的かつ平和的行使が必要であると結論づけました。

結果的に、パルマス島はオランダの領土とされ、アメリカの主張は認められませんでした。フーバー判決は、領域権に関する国際法上の重要な先例となり、その後の領土紛争に影響を与える結果となります。

結論と影響

パルマス島事件は、領有権を巡る国際的なルールの形成に寄与しました。フーバーの判決によって示された原則は、後の国際裁判においても引用され続けています。特に領域主権の持続的かつ平和的な行使が、他国の権利よりも優先されることが確認された点は、国際法の発展に大きく寄与しました。これにより、今後の領土問題、例えば尖閣諸島問題などにおいても、同様の論点が注目されることになるのです。

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