パレルモスケール

パレルモスケール（Palermo Technical Impact Hazard Scale）は、天文学者が地球近傍天体（NEO）が地球に衝突する危険性を示すために開発した対数スケールです。このスケールは、天体の衝突確率と、その衝突がもたらす潜在的な影響を総合的に評価することで、リスクの程度を数値化します。評価値が0の場合、その天体が地球に衝突するリスクは、同程度の大きさのNEOが衝突する平均的なリスクと同等であることを意味します。また、評価値が-2以上0未満の場合は、その天体の衝突リスクが無視できないレベルであり、注意深く監視を続ける必要がある状況を示します。

パレルモスケールは、より直感的で簡略化されたトリノスケールと並んで、天体衝突のリスク評価に用いられます。トリノスケールは、メディアを通じて一般の人々にも理解しやすいように設計されているのに対し、パレルモスケールはより詳細で専門的な分析に適しています。パレルモスケールの評価値は、以下の式によって算出されます。


P ≡ log10(pi / (fB T))


ここで、

Pはパレルモスケールの評価値
piは天体の衝突確率
Tはpiが考慮される時間（年単位）
fBはバックグラウンド衝突頻度であり、以下の式で計算される。


fB = (3/100) E^(-4/5) yr^(-1)


この式において、Eは衝突エネルギー（メガトン単位）を表します。fBは、特定のエネルギーレベルを持つ天体が、平均して1年あたりに地球に衝突する回数を表しています。パレルモスケールでは、天体の衝突確率だけでなく、その衝突がもたらすエネルギーも考慮に入れることで、より精密なリスク評価が可能になっています。

パレルモスケールの評価値が正の値を示す場合、その天体の衝突リスクは、同程度の大きさのNEOが衝突する平均的なリスクよりも高いことを意味します。このような天体は、特に注意深く監視され、必要に応じて軌道修正などの対策が検討される場合があります。パレルモスケールは、天文学者や惑星防衛関係者が、潜在的な脅威を評価し、対策を講じるための重要なツールとなっています。

関連事項

* トリノスケール: パレルモスケールと同様に、地球近傍天体の衝突リスクを評価するためのスケールですが、より簡略化されており、メディアでの説明に適しています。

出典

[（出典情報は必要に応じて追記）]

もう一度検索