パレ・ド・トーキョー

パレ・ド・トーキョーは、セーヌ川右岸に位置する美術館で、正式名称を「パレ・ド・トーキョー / 現代創造サイト」といいます。建物自体もパレ・ド・トーキョーと呼ばれ、その東翼にはパリ市立近代美術館が、西翼には現代美術の展覧会を行うギャラリー「パレ・ド・トーキョー / 現代創造サイト」が入居しています。

この美術館は、現代美術、コンテンポラリー・アートを中心に、絵画、彫刻、インスタレーション、デザイン、ファッション、ビデオアート、映画、文学、コンテンポラリー・ダンスなど、多岐にわたる分野の展示や上演を行っています。その多様性が、パレ・ド・トーキョーの大きな特徴となっています。

パレ・ド・トーキョーの歴史は、1937年に「近代美術宮殿」としてパリ万国博覧会に合わせて開館したことに始まります。当初はフランス美術の歴史を概観する展覧会が行われ、その後、パリ市の収蔵品や国立近代美術館のコレクションが展示されるようになりました。しかし、国立近代美術館がポンピドゥー・センターに移転したことで、西翼は一時遊休施設となりました。

1999年、文化大臣カトリーヌ・トロットマンの決定により、西翼は現代美術センターとして再出発することになりました。そして、2002年1月、「パレ・ド・トーキョー現代美術サイト」として新たに開館。現代美術シーンを牽引する存在として、国内外から注目を集めています。

建物の名称の由来も興味深い点です。セーヌ川沿いの道は、かつて「東京通り」と名付けられていました。これは、第一次世界大戦の同盟国であった日本の首都にちなんだものでした。しかし、第二次世界大戦後、道は「ニューヨーク通り」と改名されました。しかし、建物はそのまま「パレ・ド・トーキョー」の名が残されました。また、美術館前の広場は「東京広場」と名付けられており、この美術館と「東京」という名称の繋がりが感じられます。

現在、パレ・ド・トーキョーは、午前12時から24時まで開館しており、年間20万人以上の来場者が訪れる、パリ、そしてヨーロッパの現代美術の中心地となっています。コレクションを保有せず、自主企画による展覧会を開催していることも特徴で、「コレクションを持たない現代美術館としてはヨーロッパ最大」と称されています。

2012年には、建築家アンヌ・ラカトンとジャン＝フィリップ・ヴァッサルにより、大規模な改修と拡張が行われ、その魅力をさらに高めています。

歴史の詳細

パレ・ド・トーキョーの地には、かつてタペストリーを製造するサボンリー工場がありました。その後、軍用地を経て、1930年代には近代美術館建設の計画が持ち上がりました。建築設計競技を経て、ジャン＝クロード・ドンデルらのグループが勝利し、現在の建物の原型が作られました。噴水を中央に、二つの棟が対称に並ぶ構造で、外光が差し込む明るい展示室が特徴です。

万博開催中にはフランス美術の歴史を概観する展覧会が開催されました。第二次世界大戦中は、地下室がユダヤ系市民から没収された資産の倉庫として使われるなど、歴史の暗部も刻まれています。戦後、国立近代美術館が開館し、その後ポンピドゥー・センターに移転。西翼はしばらくの間、様々な施設が臨時で入居していました。

1999年に、現代美術センター設立が決定され、ニコラ・ブリオーとジェローム・サンスが初代ディレクターに就任。組織の立ち上げから開館後の展覧会企画までを担い、現在のパレ・ド・トーキョーの礎を築きました。パレ・ド・トーキョーは、文化省の出資に加え、寄付、スポンサー、入場料などによって運営されており、その運営形態も特徴的です。

このようにパレ・ド・トーキョーは、その歴史、建築、そして展示内容に至るまで、多岐にわたる魅力を持った美術館であり、現代美術を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。

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