パワプロGB

『パワプロGB』は、1998年3月26日にコナミ（現在はコナミデジタルエンタテインメントが版権を保有）から発売されたゲームボーイ用野球ゲームです。人気シリーズ『実況パワフルプロ野球』（パワプロ）としては初の携帯ゲーム機向け作品となります。

概要

ハードの制約から、シリーズの魅力の一つである実況音声などは収録されていません。選手データは1998年シーズンの開幕時点のものが採用されており、『実況パワフルプロ野球5』と同様に、プロ野球脱税事件に関与したとされる選手は収録が見送られています。ゲームボーイ向けモノクロソフトとしては、最後の野球ゲームとなりました。翌年からは同じ携帯ゲーム機で『パワプロクンポケットシリーズ』が展開されますが、本作との直接的な関連性はありません。

開発は、これまでシリーズを手掛けてきたダイヤモンドヘッド（現パワプロプロダクション）ではなく、KCE名古屋が担当しました。しかし、ボリューム不足や操作性の悪さから、野球ゲームとしての評価は低いのが現状です。KCE名古屋はコナミグループの中でも開発力に課題があるとされていました。

ゲームモード

本作には、パワプロシリーズでお馴染みのペナントモードやサクセスモードなどはなく、試合を行うのみというシンプルな構成になっています。具体的には以下のモードがあります。

ひとりで: 12球団から好きな球団を選び、CPUと対戦するモードです。
ふたりで: 通信ケーブルを使用し、2人対戦が楽しめるモードです。
データ: 過去の対戦成績を確認できるモードです。

特徴

当時の携帯ゲーム機におけるスペック上の制約により、他ハードで展開されていたシリーズ作品と比較すると、いくつかの特徴が見られます。

音声: ROM容量の制約から、実況や場内アナウンスなどは収録されていません。
選手データ: 野手の守備位置は捕手・内野手・外野手の3つに大別されており、詳細なポジション適性は設定されていません。投手は、変化球の変化量が1から3までの範囲で設定されています。また、ゲーム内で表示される選手名には漢字が使われておらず、日本人選手はひらがな表記となっています（この仕様は『パワプロクンポケット』と『パワプロクンポケット2』も同様です）。
モード数の削減: シリーズの売りであるサクセスモードやペナントモードは実装されておらず、試合を単発で行うのみとなっています。
* 操作性: 本作ではマニュアル守備が可能ですが、画面のスクロールが遅く、打球の挙動も独特であるため、守備の難易度は高くなっています。ボタン数が少ないため、十字キーで塁を指定して送球する操作しかできません。この点に関しては、後にゲームボーイアドバンスで発売された『パワプロクンポケット3』から『パワプロクンポケット7』でも同様の仕様となっています。なお、ゲームボーイで後に発売された『パワプロクンポケット』と『パワプロクンポケット2』では、守備はオートに固定されています。

『パワプロGB』は、携帯ゲーム機でパワプロをプレイできるという点で画期的でしたが、ゲーム内容にはいくつかの制約がありました。しかし、その後のパワプロクンポケットシリーズへと繋がる重要な作品の一つと言えるでしょう。

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