パンアメリカン航空202便墜落事故

パンアメリカン航空202便墜落事故の詳細

1952年4月28日、パンアメリカン航空202便はアルゼンチンのブエノスアイレスを飛び立ち、複数の国を経由しながらアメリカ合衆国のニューヨークを目指していました。この便で使用されていたのはボーイング377ストラトクルーザー（N1039V）で、愛称は「クリッパー・グッドホープ」とされていました。出発から時間が経つにつれ、202便は徐々に目的地へと向かっていましたが、4月29日午前3時06分にリオデジャネイロ市のガレオン国際空港を離陸したあと、消息を絶ってしまいます。

アマゾン熱帯雨林のバレリアス付近において、午前6時16分に位置通報を行ったのが最後の通信でした。この通信では、11450フィートの高度で飛行中であると報告されており、次の位置地点であるカロリナは午後7時45分に通過する予定とされていました。202便の最後の目撃証言はフォルモサとサンフランシスコという村の住民によるもので、通常の飛行をしていると確認されています。

消息を絶った後、ブラジル海軍や航空機による捜索が始まりました。5月1日、墜落現場が発見されました。その場所はリオデジャネイロから北北西約1600キロ、アマゾン川の河口に近い場所でした。墜落事故により、運航乗務員、客室乗務員、乗客合わせて全50名が死亡したと確認されています。また、墜落時刻は現地時間で午前6時40分と推定されています。

事故調査の進展

墜落現場へのアクセスは困難であり、地形の複雑さや、当時の技術的限界から、救助活動が遅れることになりました。最初の調査隊が現場に到達したのは墜落から約18日後の5月16日でしたが、食料や水の不足から活動を続けることが難しく、撤退を余儀なくされました。調査団も、全員の死亡や残骸の一部が火事によって焼失していることを確認するにとどまりました。

その後、大規模な人員と装備を持つ第2次調査団が8月15日に現場に入ります。ここで調査団は残骸が三つに分かれて墜落していることを発見しました。さらに、プロペラとエンジンが見つからないことが初期に脱落した証拠とされ、推測が進められました。

事故の原因

最終的に、202便が墜落した原因は、夜明け前の巡航中にエンジンプロペラに異常振動が生じ、その影響で機体が空中分解したとの推察がなされました。特に、プロペラ設計に関しては問題があったとされ、ボーイング377は大出力エンジンが装備されながら、制作されたプロペラがその出力に対して耐え切れないものであった可能性が指摘されています。

アメリカ連邦民間航空局は、中空式プロペラの改修を勧告しますが、それは事故発生の3年後のことです。ボーイング377は、その後もエンジンのトラブルからさまざまな事故を引き起こしたケースが見受けられました。これにより、航空機の設計や規制が見直される契機ともなった歴史的な事故といえます。

事故を通じて判明した教訓は多く、今後の航空機の設計や運航における安全対策に影響を与えるものとなりました。

もう一度検索