パン・デ・ロー

パン・デ・ローの魅力

パン・デ・ロー（ポルトガル語: Pão-de-ló）は、ポルトガルの伝統的な菓子の一種で、長い歴史を持つスイーツです。その起源は16世紀に遡り、ポルトガルの修道院で作られていたと言われています。主に教会へのお供え物として作られ、キリスト教行事に際して振る舞われることが多かったため、その文化的な重要性も高いものです。特に復活祭の時期には必ずといっていいほど食べられる、この伝統的な菓子は北部ポルトガルの家族や親戚が集まる特殊な行事、結婚式、洗礼式においても必須の存在となっています。毎年5月には「パォン・デ・ロー祭り」が開催され、多くの人々がその魅力を再確認しています。

名前の由来と地域の多様性

「パォン・デ・ロー」という名前の由来には諸説あり、「パォン」はパンを意味し、「ロー」はポルトガル語には存在しないものの、中国のシルクロードを介して伝わった「絽」と関係があるとも考えられています。ポルトガル全土で作られるパン・デ・ローですが、特に北部地域で親しまれており、各地方によってその形や材料には多様性が見られます。

典型的な材料には卵、砂糖、小麦粉が使用され、油脂は含まれません。特に、今でも手作りの際には木製の泡立て器を用いて卵と砂糖を泡立てる伝統が残っています。

北部ミーニョ地方の特徴

北部ミーニョ地方のパン・デ・ローでは、素焼きの型に紙を敷き、そこに生地を流し込みます。その後、別の素焼きの型で蓋をし、完全に火を通します。食べる際はナイフを使わずに手でちぎって食べるのが伝統的なスタイルです。この地方ではポートワインと一緒に楽しむことが一般的で、豊かな風味を引き立てています。

ベイラリトラル地方のクリーム入りバリエーション

オヴァールの街に伝わるベイラリトラル地方のパン・デ・ローは、異なる焼き方が特徴的です。こちらでは、素焼きの型に生地を入れ、半熟状態で焼き上げられ、地元の人々はこれをクリーム入りパン・デ・ローと呼びます。この独特の仕上がりは、外側はしっかりとした食感ながら、中は柔らかくリッチな風味を楽しめます。

リバテージョ地方とエストレマドゥーラ地方

リバテージョ地方およびエストレマドゥーラ地方では、バターを塗った銅鍋に生地を入れ、こちらも半熟状態で焼き上げられます。これはベイラリトラル地方のパン・デ・ローに影響を受けた進化形と考えられています。

他の地方の特色

またベイラアルタ地方のレゼンデでは、カヴァカ・デ・レゼンデという特有の名前がつけられた長方形の形状にカットしたパン・デ・ローが存在し、蜜をかけるスタイルが定番です。ミーニョ地方にはアティ村など、各地でそれぞれの方法で作られるパン・デ・ローがあり、その豊かな歴史と多様性を反映しています。

これらの伝統的な菓子は、故郷の味を思い起こさせるだけでなく、ポルトガル文化を尊重し、日々の食卓に彩りを添える存在となっています。

もう一度検索