パーキングパーミット

パーキングパーミットとは

パーキングパーミットは、障害のある方や歩行が困難な方のために、専用の駐車スペースを利用できる許可証です。この制度は、対象者への駐車スペースの提供を明確化し、不正利用を抑制することを目的としています。制度の名称は国や地域によって異なり、「障害者用駐車許可証」や「身障者用駐車許可証」などと呼ばれることもあります。

世界のパーキングパーミット制度

欧米

欧米では、ショッピングセンターの入口付近や道路沿いなどに、パーキングパーミット専用の駐車場が設けられているのが一般的です。これにより、対象者は施設へのアクセスが容易になります。

EU

EU（欧州連合）では、EU域内共通の障害者用駐車カードが発行されており、加盟国間での相互利用が可能です。また、ドイツでは、不正駐車に対して高額な罰金が科せられるなど、厳格な取り締まりが行われています。

北米

アメリカ合衆国では、各州ごとにパーキングパーミット制度が存在しますが、アメリカとカナダ間では相互利用が可能な制度が設けられています。アメリカでは、不正駐車に対する罰則が非常に厳しく、一般の駐車違反と比較して高額な罰金やレッカー移動の措置が取られます。

日本のパーキングパーミット制度

日本では、2006年に佐賀県が初めて導入し、その後、他の自治体にも広がっています（2020年4月1日現在で38府県1市）。各自治体でデザインや色合いが異なりますが、相互利用が可能です。

対象者

佐賀県を例に挙げると、パーキングパーミットの対象者は以下の通りです。

身体に障害があり歩行が困難な方
一時的な疾病（骨折や病気など）により歩行が困難な方
妊産婦（妊娠7か月から産後3か月）
高齢者（要介護度1以上認定対象者）で歩行が困難な方
難病患者で歩行が困難な方
知的障害者（療育手帳の障害の程度欄が「A」）で歩行が困難な方

制度の問題点と課題

パーキングパーミット制度には、以下のような課題も指摘されています。

罰則がない場合の不正駐車の防止効果が低い
利用対象者の拡大により、既存利用者との間で軋轢が生じる可能性

これらの課題に対処するため、佐賀県ではパーキングパーミットプラスワン運動を実施し、一般駐車場の一部をパーキングパーミット専用に設定する試みや、不正駐車を抑制するデザインの検討が行われています。

佐賀県における導入の経緯

佐賀県では、パーキングパーミット制度導入以前から障害者用駐車場制度がありましたが、以下の課題がありました。

障害者手帳の所持者のみが利用対象であったため、高齢者や妊婦など、歩行に困難を抱えるその他の人々は利用できなかった。
障害者用駐車場は、車椅子利用者のために広い駐車スペースを必要とするため、駐車台数が減少する。
障害者用駐車場の利用許可証は、利用者の登録ではなく、利用者の所有する自動車を登録する方式であった。

これらの課題を踏まえ、パーキングパーミット制度では以下の点が考慮されました。

利用者を登録する持ち運び式の許可証を発行する。
施設管理者にとって導入しやすいよう、駐車スペースの幅は通常の駐車幅とする。
傷病者や妊婦など、一時的に必要となる利用者には、有効期限を設ける。

これらの措置により、より多くの人々が公平に駐車スペースを利用できるようになりました。

関連情報

駐車場
イングランドのブルーバッジ

外部リンク

障害者等用駐車場の適正利用のために (PDF) - 国土交通省
駐車場基準設計の考え方設計のポイント (PDF) - 国土交通省
* 駐車禁止等除外標章（身体障害者等用）の申請手続き及び使用方法について - 警視庁

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