パーフェクト・プラン 完全なる犯罪計画

パーフェクト・プラン 完全なる犯罪計画：予測不能な犯罪コメディ

2011年製作のアメリカ映画『パーフェクト・プラン 完全なる犯罪計画』(原題:Thin Ice)は、一見単純な犯罪計画が、思わぬ方向へ展開していく予測不能な展開と、テンポの良いユーモラスな描写が魅力の犯罪コメディです。監督はジル・スプレカー、グレッグ・キニアとアラン・アーキンといった実力派俳優が出演しています。

舞台は、氷雪に閉ざされた真冬のウィスコンシン州。主人公は、金銭的に困窮している保険セールスマン、ミッキー・プロハスカです。彼は顧客である独り暮らしの高齢者、ゴルヴィー・ハウアーが所有する高価なバイオリンに目をつけ、金策として盗む計画を立てます。

しかし、ミッキーの計画は、思わぬトラブルに見舞われます。バイオリンを盗むために呼び出した警備システム業者のランディが、ゴルヴィーの友人を誤って殺してしまうのです。その現場を目撃したミッキーは、ランディに脅され、共犯者にされてしまいます。

ミッキーはランディの指示に従い、殺害された友人の遺体の処理を手伝い、金銭を要求されるという、想像を絶する事態に巻き込まれます。バイオリンはすぐにゴルヴィーに見つかり、既に保険をかけてあったため、ゴルヴィーは多額の保険金を受け取ることになります。

一方、ランディに脅迫されたミッキーは、バイオリンを闇市場に売ろうとしますが、新聞記事で殺人事件のことが発覚し、慌ててバイオリンを捨てて逃げ出します。ランディもまた、事態を恐れて姿を消します。

その後、ミッキーはゴルヴィーに会うために行きますが、そこには、全くの別人の「本物のゴルヴィー」がいました。これまでの出来事は全て、偽のゴルヴィーが率いる犯罪グループによる、巧妙に仕組まれた保険金詐欺だったのです。殺された友人、警備システム業者、さらにはミッキーを紹介した人物、バイオリン鑑定士までもが、グルだったのです。

ミッキーは、彼らの計画に利用され、「保険」として利用されていたのです。ミッキーのクレジットカードまでもが、犯行に使われており、万が一の場合には、全ての罪がミッキーへと向けられるように、最初から綿密に計画されていたことが明らかになります。

ミッキーは、同僚のカーラに犯行を疑われますが、愛車をカーラに譲り、保険セールスマンを辞めて、暖かい南の土地に移り住むことを決意します。そこで、保険セールスマン時代に培った巧みな話術を駆使して、観光客に別荘を売る新しい人生を始めるのです。

この映画は、単純な犯罪計画から始まる物語が、次々と予想外の展開を見せ、最後は意外な結末を迎えます。登場人物たちの個性豊かなキャラクター、テンポの良いストーリー展開、そして、人間の業をユーモラスに描いた作品です。サンダンス映画祭出品作品ということもあり、その高い評価はRotten Tomatoesの69%の高評価からも見て取れます。

キャストには、グレッグ・キニア、アラン・アーキン、ビリー・クラダップなど、実力派俳優が名を連ねています。彼らの演技も、この映画の大きな魅力の一つです。劇場未公開ですが、WOWOWでの放送やDVD化により、日本でも楽しむことができます。一度、この予測不能な犯罪コメディの世界を体験してみてはいかがでしょうか。

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