ヒエロニュモス

ヒエロニュモスの生涯と業績

ヒエロニュモス（紀元前360年頃 - 紀元前255年頃）は、古代ギリシャの都市カルディア出身の歴史家です。彼はアレクサンドロス大王の後継者たち、いわゆるディアドコイの一人であるエウメネスに仕えました。ヒエロニュモスはエウメネスと親しい関係にあり、彼の忠実な側近として、多くの重要な任務を果たしました。

エウメネスは、アレクサンドロス大王の死後、彼の後を継いで権力を握ろうとする複数の軍事指導者たちとの争いに巻き込まれます。ヒエロニュモスはその時代の裏舞台を知る重要な歴史家となり、特にアンティゴノス1世への使者としての役割が知られています。彼はエウメネスが死去した後も、アンティゴノス1世、デメトリオス1世、そしてアンティゴノス2世に仕え続けました。

彼の著作として最も知られるのが、『後継者史』です。この作品は、ディアドコイ戦争に関する唯一の同時代史として評価されています。しかし、原著は散逸してしまい、ヒエロニュモスの歴史的見解や記述内容は、後世の歴史家であるシケリアのディオドロスの『歴史叢書』に引用される形でのみ伝わっているのです。

『後継者史』では、ヒエロニュモスはアンティゴノス1世をディアドコイ戦争の最強者とし、エウメネスを唯一の対抗者として描いています。この評価は、歴史的に見ても非常に影響力があり、当時の人物評に多大な影響を与えました。彼の歴史観は、ディアドコイ間の権力闘争を理解する上でなくてはならないものとなっています。

また、ヒエロニュモスに関する記録は、現代の文学にも影響を与えています。その一例として、岩明均の漫画『ヒストリエ』が挙げられます。この作品では、ヒエロニュモスがエウメネスの義兄として描かれており、彼の人物像を新たな視点から探求しています。ヒエロニュモスは歴史の証人としてだけでなく、物語の登場人物としても、後世に影響を与え続けているのです。

ヒエロニュモスは、その資料としての価値が高く、アレクサンドロス大王の後継者たちの時代を知るために欠かせない存在です。彼の記録がなければ、私たちはディアドコイ戦争についての理解を深めることができなかったかもしれません。古代ギリシャの歴史を知る上で、ヒエロニュモスの名は永遠に刻まれ続けることでしょう。

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