ヒギエア族

ヒギエア族の概要

ヒギエア族とは、小惑星帯の外縁部に存在する小惑星のグループで、主に炭素化合物を豊富に含むB型小惑星やC型小惑星から構成されています。この小惑星族で最も大きな存在が(10)ヒギエアで、全体の体積の約96%を占めています。ヒギエア族にはメインベルト内の小惑星の中で約1%が含まれているとされています。

特徴

ヒギエア族で最も目立つ小惑星はヒギエアで、その大きさは他のメンバーと比べて非常に大きなものです。実際、ヒギエアだけでこの族の体積をほぼ一手に担っており、その存在が際立っています。次に大きい小惑星としては(333)バーデニアと(538)フリーデリーケがあり、これらはともに直径が70キロメートルを超えています。残りのメンバーは直径30キロメートル以下の小さな小惑星が大半を占めています。

ヒギエア族は、ヒギエアからの大規模な衝突によって発生した破片から形成されたクレーター型の族であると考えられています。しかし、バーデニアやフリーデリーケのような大きな小惑星が、この母天体の分離によって生成されたものではなく、外部から侵入した可能性が強いです。特にこれらはヒギエアに似ているものの、軌道が異なることから、単なる通過者である可能性が高いと考えられます。

また、この小惑星族はB型小惑星も包含しており、フリーデリーケがその中で最大とされています。この族は比較的古い起源を持つことが指摘されています。

軌道

ヒギエア族の小惑星の軌道については、HCM（Hills-Chaisson-Malhotra）モデルを用いた数値解析によって、ある程度の見積もりが行われています。これにより、ヒギエア族がどのような軌道を描いているのかを理解する手がかりが得られています。

外部からの侵入者

ヒギエア族には、外部からこの軌道に入ってきた小惑星が多く存在することが認識されています。例えば、(100)ヘカテ、(108)ヘクバ、(1109)タタ、(1209)プーマ、(1599)Giomusといった小惑星は、ヒギエア族と似たような軌道を持っている一方で、光学的な観測や分光分析によってS型やD型として分類されています。

21世紀に入ってからのスペクトル分類技術の向上により、他のC型小惑星もこの族に侵入していると見なされるようになりました。バーデニアやフリーデリーケもその一例です。また、(52)エウロパもヒギエア族に似た軌道を通っているものの、正式にはこの族に属していないことが確認されています。

このように、ヒギエア族はその構造や起源、さらには外部からの小惑星との関連性において、多くの興味深い要素を持つ小惑星群なのです。

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