ヒナノシャクジョウ科

ヒナノシャクジョウ科（Burmanniaceae）

ヒナノシャクジョウ科は、主に腐生植物で構成される小型の植物のグループです。この科の名前はオランダの植物学者ヨハネス・ブルマンに由来しています。ヒナノシャクジョウ科の植物は、単子葉植物に分類され、特に地下で菌類から栄養を摂取する菌従属栄養植物が多くを占めています。ほとんどの種は緑色の葉を持たず、地表ではわずかな時間だけ姿を現します。

特徴

ヒナノシャクジョウ科の植物は、地表に一本の茎を伸ばし、その先に花をつける形態が一般的です。花弁は下部が融合しているものが多く、先端は三つまたは六つに裂けています。雄しべも花弁に癒合することが多いです。これらの植物の種子は非常に小さく、数が多いことが特徴です。また、一部の植物はロゼット状の小さな葉を持つこともあります。

分布と分類

ヒナノシャクジョウ科は、世界の熱帯地域に広く分布していますが、一部は温帯地域にも見られます。主に森林や湿地に生育し、約20属130種ほどが存在します。日本でも、4つの属と11種が確認されています。特にヒナノシャクジョウ属は、日本固有の種が多く、近畿以南にはシロシャクジョウ、九州以南にはキリシマショクジョウが見られます。その他の属の種も日本独自のものであり、特に四国の徳島県那賀町に生育するタヌキノショクダイは国指定の天然記念物に指定されています。

ヒナノシャクジョウ科の植物は、ほとんどが森林の落ち葉の間から顔を出し、光合成を行わないため全体に白っぽい外観をしています。ただし、ミドリシャクジョウは特異な存在であり、湿った草地に生息し、高さが20cmに達することもあります。この種は緑色の根出葉と茎葉を持ち、西表島に分布し、インドシナやマレーシアでも見られますが、残念ながら西表島では絶滅したとされています。

代表的な属と種

以下は、ヒナノシャクジョウ科に含まれる代表的な属と種です：

• - ヒナノシャクジョウ属（Burmannia）:

- ヒナノシャクジョウ（B. championii）
- シロシャクジョウ（B. cryptoptelata）
- キリシマシャクジョウ（B. liukiuensis）
- ルリシャクジョウ（B. itoana）
- ミドリシャクジョウ（B. coelestris）

• - ギムノシフォン属（Gymnosiphon）: 熱帯全域に分布

• - アフロティスミア属（Afrothismia）: アフリカに分布

• - タヌキノショクダイ属（Thismia）:

- タヌキノショクダイ（T. abei）
- キリシマタヌキノショクダイ（T. tuberculata）
- コウベタヌキノショクダイ（T. kobensis）

• - ヒナノボンボリ属（Oxygyne）:

- ホシザキシャクジョウ（Oxygyne shinzatoi）
- ヤクノヒナホシ（Oxygyne yamashitae）

• - ムジナノショクダイ属（Relictithismia）:

- ムジナノショクダイ（Relictithismia kimotsukiensis）

ヒナノシャクジョウ科は、独特の生態や形態を持つ魅力的な植物群です。特に、腐生植物としての生態は、生態系の多様性を象徴する存在であり、今後の研究や保全活動がさらに重要になることでしょう。

もう一度検索