ヒメボタル

ヒメボタル (Luciola parvula) の概要

ヒメボタルはコウチュウ目ホタル科に属し、日本にのみ生息するホタルの一種です。この小さな昆虫は全長約7mmで、ゲンジボタルやヘイケボタルよりもサイズが小さく、成虫が発光する様子が特長的です。しかし、ヒメボタルは一般的にあまり知られておらず、その美しい光を目にする機会は限られています。

形態と特徴

ヒメボタルの外観は、頭部と羽根が黒く、前胸は赤色を呈します。中央に黒い筋がないのが特徴で、前方がわずかに黒ずんでいます。オスとメスでは体のサイズに違いがあり、メスはオスより一回り小さいものの、体型は太めで、後翅が退化しているため飛行することはできません。ヒメボタルには、大型のものと小型のものの2つのタイプが確認されており、地域によって体長や遺伝的特性が異なる場合があります。

生態

ヒメボタルの幼虫は主に陸生であり、カタツムリなどの陸生貝を食べることで成長します。一般的にホタルは清流地域に関連付けられがちですが、ヒメボタルは森林内に生息することが多く、意外にも陸生の方が一般的です。成虫は毎年5月から6月にかけて羽化を行いますが、その発光は森林の中など、目に付かない場所でおこなわれます。そのため、他のホタルに比べるとあまり知られていないのです。

成虫が発光する際、メスは草木に止まったままとなり、発光を行います。一方、オスは空中を飛びながら光を放ちます。ヒメボタルの光は、ゲンジボタルやヘイケボタルに比べると強さは劣りますが、鋭く、少し黄色みのある色合いを持っています。また、発光のパターンとしては、ヒメボタルは明滅が歯切れ良く行われるのが特長です。

保護活動

ヒメボタルの生息地に対する保護活動も行われており、名古屋城の外堀では特に積極的に保護が進められています。1997年には第1回ヒメボタルサミットが兵庫県三田市の博物館で開催され、以来、定期的にサミットが催されています。2019年には第16回目が豊中市で開催され、多くの関係者が集まりました。また、大阪府には豊中ヒメボタルを守る会が存在し、地域での保護活動が行われています。

ヒメボタルはその独自の生態や美しい光で特別な存在ですが、まだまだ知られていないことが多い昆虫です。保護活動を通じてその存在を広めることが、今後必要とされています。

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