ヒュンダイ・キャスパー

ヒョンデ・キャスパー：韓国発、コンパクトSUVの挑戦

ヒョンデ自動車が2021年に発売したキャスパーは、韓国の軽自動車規格に準拠した、同社最小のクロスオーバーSUVです。19年ぶりに韓国市場に投入された軽自動車ということもあり、発売前から大きな注目を集めました。そのコンパクトなボディながら、高い実用性を備え、多様なユーザーのニーズに応える一台となっています。

デザインと機能性

キャスパーのデザインは、一見3ドア風に見える斬新なスタイルが特徴です。リヤドアの窓を小さくし、ドアハンドルをピラーに内蔵することで、スタイリッシュな印象を与えています。ボディサイズは、全長3,595mm、全幅1,595mm、全高1,575mmとコンパクトながらも、工夫された設計により、広い室内空間を実現しています。

エンジンは、1.0Lの直列3気筒MPI（自然吸気）とT-GDI（直噴ターボ）の2種類が用意され、ターボ仕様はオプションで選択可能です。ターボを選択すると、フロントにインタークーラー冷却用のダクトが追加され、よりパワフルな走りを楽しめます。また、ターボ仕様またはブレーキオプションを選択すると、後輪のブレーキがドラム式からディスク式に変更されます。

シートは前席、後席ともに折りたたみ可能で、オプションのトランクマットを使用すれば車中泊も可能です。助手席背面にはトレイが備え付けられており、助手席を使用しない場合は小物置きとして活用できます。

キャスパーバンとEVモデル

2022年には、商用車仕様のキャスパーバンが登場しました。後席を撤去し、荷室空間を拡大することで、ビジネスユースにも対応できるようになっています。当初はシンプルな装備でしたが、後にスマートキーやナビゲーションシステムなどのオプションが追加されました。

キャスパーのEVモデルは、韓国ではキャスパーエレクトリック、海外ではインスターとして展開されています。2024年6月、釜山モビリティショーでワールドプレミアされ、韓国車初となるペダル踏み間違い防止装置（PMSA）を搭載したことも話題となりました。当初は韓国の軽自動車規格に準拠する予定でしたが、NMC電池搭載や国外輸出を視野に入れ、ボディサイズを大型化、小型車として販売されています。韓国の国会議員の公用車としても採用されているなど、その高い評価がうかがえます。

輸出仕様と日本市場

欧州仕様のインスターは左ハンドル仕様となっており、ヒョンデUKのラインナップでは唯一の左ハンドル車です。日本仕様は右ハンドル、右ウインカーとなり、2025年春の発売を目指しています。光州グローバルモーターズで生産される初めての右ハンドル車であり、同社のグローバル展開における重要な一歩と言えます。インスターはキャスパーやキャスパーエレクトリックとは異なり、後部ドアの装飾が異なります。また、オフロード走行をテーマにした特別仕様車「インスタークロス」も発表されています。

パワートレインと航続距離

インスターのパワートレインはボルグワーナー社製で、標準車は71kW(96PS)/147Nm、ロングレンジモデルは84.5kW(115PS)/147Nmのパワーを発揮します。バッテリー容量は、標準車が42kWh、ロングレンジモデルが49kWhで、ヒョンデEV初となるNMC電池を採用。WLTP基準での航続距離は、標準車が300km、ロングレンジが355kmです。

ハイパフォーマンスモデル：RN24

ヒョンデのハイパフォーマンスブランド「N」によるコンセプトカー、RN24は、キャスパーをベースにIONIQ 5 Nのパワートレインを搭載した、最小のEVです。パイプフレームむき出しのボディに、キャスパーのデザイン要素を受け継いだ灯火類が特徴的です。ラリー1と同様の部品で構成された足回りや、回生ブレーキ技術を用いたe-handbrakeなど、レーシングカー譲りの技術が投入されています。

まとめ

キャスパーは、コンパクトなボディと高い実用性を兼ね備えた、魅力的なクロスオーバーSUVです。EVモデルのインスターの登場により、その魅力はさらに広がりを見せています。今後の展開にも期待が高まります。

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