ヒューストン美術館

ヒューストン美術館（MFAH）は、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに位置し、全米屈指の規模を誇る美術館です。そのコレクションは60,000点近くに及び、世界各地の6,000年前から現代までの幅広い時代の美術品を所蔵しています。美術館は、展覧会、ワークショップ、リソースセンターなどを通じて地域社会に貢献し、年間125万人もの人々が訪れます。さらに、館外活動にも50万人以上が参加しており、その影響力は計り知れません。

施設

美術館の展示面積は28,000平方メートルに及び、アメリカでもトップクラスの規模を誇ります。メインキャンパスには5つの施設があり、さらに館外に2つの施設が点在しています。

メインキャンパスの施設

キャロライン・ワイス・ロウ・ビルディング: 1924年に完成した新古典主義建築の本館で、1958年にカリナン・ホール、1974年にブラウン・パビリオンが増築されました。
オードリー・ジョーンズ・ベック・ビルディング: 2000年に開館した建物で、14,693平方メートルの展示面積を誇り、メインキャンパスの展示面積を倍増させました。
リリー・アンド・ヒュー・ロイ・カレン彫刻庭園: イサム・ノグチが設計した彫刻庭園で、1986年に公開されました。
グラッセル美術学校: 1979年創立の美術大学です。
管理棟及びグラッセル・ジュニア・スクール・オブ・アーツ: 美術館の管理部門と、子供向け美術教室があります。

メインキャンパス外の施設

バイユー・ベンド・コレクション: アイマ・ホッグの邸宅を改修した施設で、アメリカ装飾美術のコレクションが展示されています。1966年に公開されました。
* リエンツィ: キャロル・スターリング・マスターソンとハリス・マスターソン3世夫妻の邸宅を改修した施設で、ヨーロッパ装飾美術のコレクションが展示されています。1999年に公開されました。

歴史

美術館の起源は1900年に設立されたヒューストン・パブリック・スクール・アート・リーグに遡ります。1913年にヒューストン・アート・リーグと改称し、1917年に美術館建設用地を取得しました。1924年に本館が開館し、テキサス州初の美術館として、またアメリカ南部で3番目の美術館としてその歴史をスタートしました。その後、テキサス州の石油ブームを背景に、市民からの寄付によってコレクションが拡大しました。

アイマ・ホッグをはじめとする多くのコレクターや寄贈者の協力により、コレクションは飛躍的に拡充しました。1944年にはイーディス・ストラウスとパーシー・ストラウス夫妻がイタリア・ルネサンスの名品を含む彫刻や絵画を、1947年にはサラ・キャンベル・ブラッファーがフランス印象派の作品を寄贈しています。1953年にはロバート・リー・ブラッファー記念棟が増築され、ミース・ファン・デル・ローエによる拡張計画が始まりました。1957年にはアイマ・ホッグから邸宅とコレクションが寄贈され、1966年にはバイユー・ベンドが一般公開されました。1970年代以降も美術館の拡張は続き、美術学校、彫刻庭園、新館などが建設され、コレクションの幅も広がっています。常設展示に加えて、特別展や企画展も積極的に開催しています。

コレクション

ヒューストン美術館は、アフリカ美術、アメリカ絵画・彫刻、古典古代美術、アジア美術、装飾美術、ヨーロッパ絵画・彫刻、印象派・ポスト印象派、ラテンアメリカ美術、近現代美術、インディアン美術、オセアニア美術、写真、先コロンブス期のアメリカ美術、版画および素描、テキスタイルや衣装など、多岐にわたるコレクションを所蔵しています。市民や企業からの寄贈や購入基金への寄付により、コレクションは常に拡大を続けています。

グラッセル・コレクションには、アフリカの金細工、インドネシアの美術工芸、コロンブス到来以前のアメリカ大陸の遺物のほか、ルネサンスから19世紀までのヨーロッパの巨匠たちの絵画が含まれています。近現代美術では、モネ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、ピカソ、マティス、ポロック、ウォーホールなど、重要な作家の作品が集められています。ジョン・A・ベックとオードリー・ジョーンズ・ベック夫妻のコレクションは特に著名です。写真コレクションも充実しており、ヨーロッパ、アメリカ、ソ連など各国の写真家の作品が収蔵されています。

ヒューストン美術館は、その多様なコレクションと積極的な活動を通じて、国内外からの多くの人々を魅了し続けています。

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