ヒューマン・ライツ・ウォッチ

ヒューマン・ライツ・ウォッチについて

ヒューマン・ライツ・ウォッチ（Human Rights Watch）は、アメリカに拠点を置く国際的な人権NGOです。本部はニューヨークにあり、様々な国々で発生している人権侵害や弾圧に対して警鐘を鳴らし、全ての人々の人権を保護することを目指しています。世界中で90か国以上に展開し、人権の状況を監視・調査し、その結果を発表しています。

沿革

ヒューマン・ライツ・ウォッチは1978年に設立されたヘルシンキ・ウォッチを起源とし、当初はソビエト連邦におけるヘルシンキ協約違反を対象としていました。この活動は、ソ連及び東欧諸国での人権問題に国際的な注目を集め、1980年代の民主化に寄与しました。1980年代には「アメリカ・ウォッチ」（1981年）や「アフリカ・ウォッチ」（1988年）などが設立され、これらの団体は1988年に統合され、現在の名称である「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」となりました。事務局長にはケネス・ロスが1993年以降指名され、組織のさらなる強化が図られています。

活動内容

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「調べる、知らせる、世界を変える」というアプローチに基づいて活動を行っています。そのために、まず調査員を現地に派遣し、被害者や加害者の声を聞くことから始めます。このような調査は党派性を伴わず、公平かつ詳細に行われ、信頼性の高い報告書としてまとめられます。これらの調査結果は地域や国際メディアで広く報道されることで、国際社会の関心を引き付ける手助けを行い、具体的な政策提言やロビイングを通じて、当事者たちに人権侵害の抑制を促します。

活動分野

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、その活動を地域別およびテーマ別に分類して実施しています。

地域

• - アフリカ
• - 南北アメリカ
• - アジア
• - ヨーロッパ・中央アジア
• - 中東・北アフリカ
• - アメリカ合衆国

課題

• - 武器と人権
• - ビジネスの倫理
• - 子どもの権利
• - 緊急対応
• - 保健と人権
• - LGBTの権利
• - 難民支援
• - 女性の権利

これに加え、テロリズム対策や環境問題、拷問防止、表現の自由の確保など、多様なテーマにも取り組んでいます。

実績

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国際的な人権問題に関与し、多くの成果を上げています。1992年からは地雷禁止国際キャンペーンにも参加し、1997年には対人地雷禁止条約の成立に寄与したことから、ノーベル平和賞を共同受賞しました。また、ルワンダ虐殺の前からその社会状況を記録し、内戦中も現地の様子を詳細に報告しました。子ども兵士やクラスター爆弾の問題にも積極的に関わっており、2008年のクラスター爆弾禁止条約の成立にも貢献しました。

日本における活動

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2009年に東京都内に東京オフィスを開設し、弁護士の土井香苗がそのディレクターを務めています。様々な団体と協力し、北朝鮮の人権問題や、社会的養護下の子供たちの状況向上に向けて活動を行っています。また、2021年には東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の発言に対し、女性蔑視ではないかと指摘する声明を発表するなど、社会問題への関与も見せています。

ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれからも、新たな人権問題に取り組みながら、世界中の人権の保護を推進していくことでしょう。

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