ヒラテテナガエビ

ヒラテテナガエビについて

概要

ヒラテテナガエビ（学名：Macrobrachium japonicum）は、テナガエビ科に属する大型のエビで、主に東アジアの流れのある川に生息しています。この種は、日本国内では特に千葉県以南の太平洋側や福井県以南の日本海側、南西諸島、小笠原諸島などで広く見られます。また、国外では韓国や台湾でも確認されています。ヒラテテナガエビは、この地域の固有種とされています。

分布

ヒラテテナガエビは、広範囲にわたって分布しています。その主な分布地域は、日本の温暖な海域であり、特に千葉県から南下する太平洋沿岸の河川や、福井県以南の日本海側時、さらには南西諸島や小笠原諸島にかけて生息しています。国外では韓国や台湾でもその姿が確認されていますが、主に東アジアに特有の種とされています。

形態

体長はおおよそ34mmから92mmほどで、頭胸甲には独特の「額角」という構造が見られます。額角は甲羅から前方に突き出しており、周囲はギザギザした形状を持っています。特に上縁には9～13本の歯が確認され、そのうち4～5本は頭胸甲の上にも存在します。ヒラテテナガエビの雄は第2胸脚が他の胸脚よりも大きく、太く発達しており、左右ほぼ対称の形状をしています。また、脚の掌部は太くて平たい形をしており、断面は楕円形です。

体の色は暗褐色であり、頭胸甲には網目模様があります。腹の腹節には暗い横の帯模様があり、特に第3腹節はより濃くなっています。このように、ヒラテテナガエビはその独特な形状と色合いが特徴的で、他のエビとは一線を画しています。

生態

ヒラテテナガエビは河川の流れの速い下流から上流にかけて好んで生息しています。特に浅い場所にある石の下に隠れる傾向があり、これにより外敵から身を守ることができます。同じく水中生物であるテナガエビ（M. nipponense）やミナミテナガエビ（M. formosense）と生息域が重なることもありますが、ヒラテテナガエビはより流れの速い環境や上流部に適応して棲み分けを行っています。

繁殖に関しては、主に抱卵期が3月から10月にかけて見られます。ヒラテテナガエビは、一度の産卵で直径0.63～0.71㎜の卵を1000から10000個も産むことが知られています。これにより、個体数を維持し、周囲の生態系に重要な役割を果たしています。特にこの種は両側回遊型とされており、個体は水流に乗って移動する能力を有しています。

結論

ヒラテテナガエビは、流れの速い河川に生息する特殊な大型エビであり、その独特の形状、生態、繁殖行動は注目に値します。この種の生態や行動をさらに明らかにすることは、東アジアの水域における生態系の理解を深める上で重要です。

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