ヒロ杉山
ヒロ杉山（ひろすぎやま）は、1962年7月9日生まれの日本のイラストレーター、デザイナーです。多岐にわたる分野で活躍し、現在は京都造形芸術大学の客員教授も務めています。
彼のキャリアは、東京で東洋美術学校に学んでいた頃、イラストレーター湯村輝彦氏の事務所でアルバイトとして働き始め、彼の薫陶を受けたことから始まりました。そこで約6年半、デザイナーとしての経験を積んだ後、1987年に谷田一郎氏と共に近代美術集団を結成しました。
初期の活動からその才能は高く評価されており、1989年には日本グラフィック展で外国審査員賞を受賞。また、1991年には別名義である竹屋すごろくとして、イラストレーション専門誌『ザ・チョイス』でグランプリを獲得しています。
1997年、米津智之氏と共にデザイン会社エンライトメント（ENLIGHTENMENT）を設立したことは、その後の活動に大きな転機をもたらしました。エンライトメントが生み出す視覚表現は、デジタル技術の進化と時代の流れを捉え、瞬く間に注目を集めました。テレビCMやポスター、ミュージックビデオ、ミュージシャンのライブ映像など、あらゆるメディアでその独自のクリエイティブを発揮し、多忙を極めました。
ヒロ杉山の代表的な作品の一つに、著名人の肖像をモチーフにしたポートレートシリーズがあります。みのもんた氏やアントニオ猪木氏、また当時の民主党のポスターに使用された鳩山由紀夫氏など、多くの人物像を描き発表しています。これらの作品は、ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルのポートレートシリーズと比較されることもあります。また、木村拓哉氏をCGで表現し、大きな反響を呼んだTBCのテレビCMも彼の功績としてよく知られています。その他にも、Tシャツやフライヤーのデザイン、書籍の装丁、CDジャケット、業界団体のキャラクターデザイン（箭内道彦氏と共同）、さらにはテイ・トウワ氏のVJなど、その活動範囲はイラストレーションやデザインの枠を超えて広がり続けています。
国際的な舞台でも精力的に活動しており、2000年には村上隆氏がキュレーションを手掛けた「スーパーフラット」展に参加。渋谷パルコミュージアムでの開催後、ロサンゼルス、ミネアポリス、シアトルへと巡回しました。この展覧会に合わせ、エンライトメントの作品集「2 DELIGHT」も発売されています。ロサンゼルスでのスーパーフラット展をきっかけに、ニューヨークの著名なギャラリストであるジェフリー・ダイチ氏からコンタクトがあり、ダイチプロジェクトのグループ展「AFTER THE REALITY」（2006年、2008年）にも出展を果たしています。
近年では、「八百万の神」という日本の古代信仰の概念をコンセプトにした作品制作に取り組み、初の彫刻作品にも挑戦しています。また、2021年の個展を契機に始まった「ブラックペインティング」シリーズは、彼の探求心の深さを示すものです。このシリーズでは、ウォーホル、ピカソ、マチスといった著名な芸術家の作品や、90年代の個展でモチーフとしたウルトラマンの怪獣などをシルエット化し、黒い絵具の厚みで描いています。ヒロ杉山氏は、このシルエット化と黒による塗りつぶしについて、「そこにある情報を消していくことであり、抽象度を上げていく行為」「具象を抽象へ近づける作業であって、僕の作品制作のテーマの一つでもある『具象と抽象の挟間』にも通じる」とその意図を語っています。
2022年には東京ルーフギャラリーで彫刻作品の個展を開催。2023年にはロサンゼルスのSPEEDYギャラリーでも個展を開くなど、国内外で発表を続けています。また、桑原茂一氏が編集発行する『Freedom dictionary』に関連する展示や企画にも度々参加しています。
特に注目すべきは、2024年に行われた一連の個展です。ルーフミュージアムでの二度目の彫刻個展「SCULPTURE」では、ブラックペインティングのモチーフを彫刻へと広げ、アフリカ、ギリシャ、現代美術などの彫刻作品をシルエット化するという新たな試みに挑戦しました。このシリーズの制作プロセスについて、ヒロ杉山氏は、二次元から二次元への変換と異なり、三次元である彫刻のシルエット化は「かなり抽象度が高まる」とし、多角的な視点から見たシルエットの面白さを追求するため、800点近くのラフを制作したことを明かしています。また、この展覧会から、これまでの絵具の盛り上がりではなく、完全にフラットに塗りつぶす手法に変更し、画材もオイルスティックを用いることで、子供の頃のクレヨンでの塗りつぶしに通じるような、「気持ちが良く無心になれた」感覚を得たとも語っています。
さらに2024年10月には、京都・東福寺塔頭 光明院にて個展「国宝」を開催。これは「SCULPTURE」シリーズの第二弾として、日本の国宝や重要文化財をモチーフにした作品を発表しました。重森三玲氏作庭の枯山水庭園「波心庭」を背景に、自然光や和蝋燭の灯りの下で鑑賞するという、寺院空間ならではの独特な展示形式は大きな話題となりました。この「国宝」シリーズは、新作を加えて2024年末から2025年初頭にかけて六本木ヒルズA/Dギャラリーでも展示される予定です。
企画・キュレーションにも力を入れており、高橋キンタロー氏と共にアート、グラフィックアート、イラストレーションの領域を超えた大型展示「WAVE」展を主催しています。国内に加え、ロサンゼルス、サンパウロ、ロンドンへの巡回も成功させ、多くの来場者を集めるなど、現代日本のアートシーンを牽引する役割も担っています。2025年にルーフギャラリーで開催される第7回「WAVE 2025」でも、前期「WAVE BLUE」と後期「WAVE YELLOW」の二部構成で、国内外の著名なアーティストや気鋭の才能と共に、自身の作品も展示される予定です。
ヒロ杉山氏は、デザイン、イラストレーション、現代アート、そして教育と、その活動の幅を広げながら、常に新たな表現を追求し続けています。
彼のキャリアは、東京で東洋美術学校に学んでいた頃、イラストレーター湯村輝彦氏の事務所でアルバイトとして働き始め、彼の薫陶を受けたことから始まりました。そこで約6年半、デザイナーとしての経験を積んだ後、1987年に谷田一郎氏と共に近代美術集団を結成しました。
初期の活動からその才能は高く評価されており、1989年には日本グラフィック展で外国審査員賞を受賞。また、1991年には別名義である竹屋すごろくとして、イラストレーション専門誌『ザ・チョイス』でグランプリを獲得しています。
1997年、米津智之氏と共にデザイン会社エンライトメント（ENLIGHTENMENT）を設立したことは、その後の活動に大きな転機をもたらしました。エンライトメントが生み出す視覚表現は、デジタル技術の進化と時代の流れを捉え、瞬く間に注目を集めました。テレビCMやポスター、ミュージックビデオ、ミュージシャンのライブ映像など、あらゆるメディアでその独自のクリエイティブを発揮し、多忙を極めました。
ヒロ杉山の代表的な作品の一つに、著名人の肖像をモチーフにしたポートレートシリーズがあります。みのもんた氏やアントニオ猪木氏、また当時の民主党のポスターに使用された鳩山由紀夫氏など、多くの人物像を描き発表しています。これらの作品は、ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルのポートレートシリーズと比較されることもあります。また、木村拓哉氏をCGで表現し、大きな反響を呼んだTBCのテレビCMも彼の功績としてよく知られています。その他にも、Tシャツやフライヤーのデザイン、書籍の装丁、CDジャケット、業界団体のキャラクターデザイン（箭内道彦氏と共同）、さらにはテイ・トウワ氏のVJなど、その活動範囲はイラストレーションやデザインの枠を超えて広がり続けています。
国際的な舞台でも精力的に活動しており、2000年には村上隆氏がキュレーションを手掛けた「スーパーフラット」展に参加。渋谷パルコミュージアムでの開催後、ロサンゼルス、ミネアポリス、シアトルへと巡回しました。この展覧会に合わせ、エンライトメントの作品集「2 DELIGHT」も発売されています。ロサンゼルスでのスーパーフラット展をきっかけに、ニューヨークの著名なギャラリストであるジェフリー・ダイチ氏からコンタクトがあり、ダイチプロジェクトのグループ展「AFTER THE REALITY」（2006年、2008年）にも出展を果たしています。
近年では、「八百万の神」という日本の古代信仰の概念をコンセプトにした作品制作に取り組み、初の彫刻作品にも挑戦しています。また、2021年の個展を契機に始まった「ブラックペインティング」シリーズは、彼の探求心の深さを示すものです。このシリーズでは、ウォーホル、ピカソ、マチスといった著名な芸術家の作品や、90年代の個展でモチーフとしたウルトラマンの怪獣などをシルエット化し、黒い絵具の厚みで描いています。ヒロ杉山氏は、このシルエット化と黒による塗りつぶしについて、「そこにある情報を消していくことであり、抽象度を上げていく行為」「具象を抽象へ近づける作業であって、僕の作品制作のテーマの一つでもある『具象と抽象の挟間』にも通じる」とその意図を語っています。
2022年には東京ルーフギャラリーで彫刻作品の個展を開催。2023年にはロサンゼルスのSPEEDYギャラリーでも個展を開くなど、国内外で発表を続けています。また、桑原茂一氏が編集発行する『Freedom dictionary』に関連する展示や企画にも度々参加しています。
特に注目すべきは、2024年に行われた一連の個展です。ルーフミュージアムでの二度目の彫刻個展「SCULPTURE」では、ブラックペインティングのモチーフを彫刻へと広げ、アフリカ、ギリシャ、現代美術などの彫刻作品をシルエット化するという新たな試みに挑戦しました。このシリーズの制作プロセスについて、ヒロ杉山氏は、二次元から二次元への変換と異なり、三次元である彫刻のシルエット化は「かなり抽象度が高まる」とし、多角的な視点から見たシルエットの面白さを追求するため、800点近くのラフを制作したことを明かしています。また、この展覧会から、これまでの絵具の盛り上がりではなく、完全にフラットに塗りつぶす手法に変更し、画材もオイルスティックを用いることで、子供の頃のクレヨンでの塗りつぶしに通じるような、「気持ちが良く無心になれた」感覚を得たとも語っています。
さらに2024年10月には、京都・東福寺塔頭 光明院にて個展「国宝」を開催。これは「SCULPTURE」シリーズの第二弾として、日本の国宝や重要文化財をモチーフにした作品を発表しました。重森三玲氏作庭の枯山水庭園「波心庭」を背景に、自然光や和蝋燭の灯りの下で鑑賞するという、寺院空間ならではの独特な展示形式は大きな話題となりました。この「国宝」シリーズは、新作を加えて2024年末から2025年初頭にかけて六本木ヒルズA/Dギャラリーでも展示される予定です。
企画・キュレーションにも力を入れており、高橋キンタロー氏と共にアート、グラフィックアート、イラストレーションの領域を超えた大型展示「WAVE」展を主催しています。国内に加え、ロサンゼルス、サンパウロ、ロンドンへの巡回も成功させ、多くの来場者を集めるなど、現代日本のアートシーンを牽引する役割も担っています。2025年にルーフギャラリーで開催される第7回「WAVE 2025」でも、前期「WAVE BLUE」と後期「WAVE YELLOW」の二部構成で、国内外の著名なアーティストや気鋭の才能と共に、自身の作品も展示される予定です。
ヒロ杉山氏は、デザイン、イラストレーション、現代アート、そして教育と、その活動の幅を広げながら、常に新たな表現を追求し続けています。
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